資産形成ハンドブックでは、無料・登録不要で使えるお金のツールを26本公開しています(2026年8月時点)。この記事ではそのうちの1本、「家計のバランスシート診断」をご紹介します。
「貯金はいくらありますか」と聞かれれば、だいたいの方が答えられると思います。では「純資産はいくらですか」と聞かれたら、いかがでしょうか。
住宅ローンが残っている方、車のローンがある方、奨学金を返している方。資産と負債の両方がある家計では、貯金額だけを見ていても本当の姿はわかりません。このツールは、ご家庭の資産と負債を1枚の表に並べて、全体像をつかむためのものです。

バランスシートは、3つの箱でできています
このツールで計算するものは、会社の決算書に出てくるバランスシート(貸借対照表)を、家計に当てはめたものです。使う箱は3つだけです。
資産は、持っているもの。預貯金や投資信託などの金融資産に加えて、自宅や車といった実物資産も入ります。負債は、返さなければならないもの。住宅ローン、自動車ローン、奨学金などです。そして純資産は、資産から負債を引いた残り。これが「本当に自分のもの」と言える金額です。
貯金が1,000万円あっても住宅ローンが3,000万円残っていれば、純資産の計算はまったく違う姿になります。逆に、住宅ローンは残っていても自宅の価値がそれを上回っていれば、見え方は変わります。貯金額と純資産は、別のものなのです。
入力は世帯単位で、資産と負債を並べるだけ
入力はご家庭全体(世帯単位)で行います。ご本人の分と配偶者の分を合算してください。名義を分ける欄はあえて設けていません。家計の全体像を見るのが目的だからです。
資産は、種類を選んでから金額を入れます。種類を選ぶと、期待できる利回りの目安が自動で入ります。あわせて口座の区分(課税口座、NISA、iDeCo・企業型DC、その他)を選んでください。利回りを税引後でそろえて比べるためです。同じ投資信託でも、課税口座とNISAでは手元に残る額が変わります。

負債も同じで、種類を選ぶと金利の目安が入ります。住宅ローンの変動金利なら1.0%、奨学金(第二種)なら2.0%、カードローンなら10.0%といった具合です。実際のご自身の数字がわかる方は、上書きしてください。

集計の範囲は2つから選べます。「総合」は自宅や車も含めた家計の全体像。「金融資産のみ」は実物資産と、それに紐づく借入(住宅ローンや自動車ローン)を両方とも外して、手元の運用資産だけを見る形です。賃貸にお住まいの方は、自宅の欄を空欄のままにしていただければ大丈夫です。
結果は1枚の図と、診断メッセージで読みます
入力すると、資産・負債・純資産の関係が1枚の図で表示されます。図の各区画を押すと、その内訳が開きます。

図の下には、いくつかの診断メッセージが並びます。生活防衛資金は足りているか、金利の高い借入が残っていないか、金利が上昇したら返済額がどう変わるかといった観点です。それぞれ、改善したときの効果を金額の目安でお示しするようにしています。

このツールならではの、2つの気づき
ここからは、他の家計簿ツールや資産管理ツールではあまり見かけない2つの機能をご紹介します。
純資産にも「利回り」があります
このツールは、残高だけでなく利回りの構造も計算します。資産全体が何%で回っているか、借入の金利が平均で何%か、そして差し引きで純資産が何%で回っているかです。
借入があるということは、家計にレバレッジがかかっているということです。資産の利回りが借入金利を上回っていれば純資産の利回りは押し上げられますし、下回っていれば逆に押し下げられます。この関係が数字で見えます。

繰上返済を迷っている方には、特に見ていただきたいところです。判断の比較相手は、資産全体の平均利回りではなく、繰上返済のために実際に取り崩す資産の利回りです。平均には株式が混ざっているため、それを基準にすると返済のハードルが実態より高く出てしまいます。このツールはその区別をしたうえで数字を出しています。
一生涯で見ると、姿が変わります
もうひとつが「生涯」のタブです。ここでは、いまの資産・負債に加えて、これから受け取る給与や年金も資産として計上します。
この見方をすると、30代の方は純資産が小さくても、これから働いて得る収入がとても大きな資産として現れます。逆に定年が近づくにつれ、その部分は小さくなっていきます。同じ家計でも、いまだけを見るのと一生涯で見るのとでは、まったく違う姿になります。
住宅ローンを抱えて純資産が少ないことに不安を感じている方ほど、こちらのタブも見ていただければと思います。

点数もランクも、あえて付けていません
このツールは、家計に点数を付けたり「A判定」のような評価を出したりしません。これは機能が足りないからではなく、意図的にそうしています。
たとえば自己資本比率が20%だったとします。35歳で住宅を購入した直後であれば、ごく自然な数字です。しかし65歳で同じ数字なら、考えるべきことがあるかもしれません。年齢も家族構成も知らないツールが、その良し悪しを断じるべきではないと考えました。
お出しするのは数字と、判断の材料になる観点だけです。それをどう受け止めるかは、ご自身の状況に照らして決めていただくほうが、はるかに意味があります。
まとめ
- 資産と負債を並べるだけで、貯金額ではわからない純資産がわかります
- 残高だけでなく、資産の利回りと借入金利の差し引きまで計算します
- 「生涯」のタブでは、これからの収入も含めた家計の姿が見られます
家計の全体像をつかむことは、次の一手を決めるための出発点です。そのうえで、限られたお金と時間をどう使えば自分にとって有意義なものになるかを考えていく。その順番が大切だと考えています。
皆様の資産形成の一助となれば幸いです。
※本ツールの計算は、入力いただいた前提にもとづく概算です。利回りは将来を保証するものではなく、実物資産の評価額や税制も変わります。入力された内容がサーバーに送信されることはありません。