資産形成ハンドブックでは、無料・登録不要で使えるお金のツールを26本公開しています(2026年8月時点)。この記事ではそのうちの1本、「リスク資産の比率診断」をご紹介します。
「株式にどれくらい振り向けてよいのか」。投資を始めるとき、あるいは相場が大きく動いたときに、多くの方が迷うところだと思います。
「年齢を100から引いた数字」といった目安を耳にすることもありますが、同じ年齢でも、収入の安定度も、いつそのお金を使うかも、人によってまるで違います。この診断は、12問・約2分で、ご自身の状況に合った比率を金額まで含めて出すためのものです。

比率の前に、3つ引き算します
いきなり「何%にするか」から入らないのが、このツールの特徴です。先に投資に回してよいお金がいくらなのかを決めます。
金融資産の合計から、まず5年以内に使う予定が決まっているお金を引きます。一般的には、教育費、住宅資金、車の買い替えなどです。次に生活防衛資金を引きます。月数は収入の入り方で変わり、正社員・公務員なら生活費の6か月分、自営業やフリーランスなら12か月分として自動で計算されます。
残った金額が「投資に回せるお金」です。比率をかけるのは、この金額に対してです。
この順番には理由があります。近く使うお金や生活防衛資金までリスク資産にしてしまうと、値下がりした局面で売らざるを得なくなるためです。同じ「株式50%」でも、この仕分けをしたうえでの50%と、していない50%では、意味がまったく違います。

12問を、3つのステップで
設問は12問。3つのステップに分かれています。
STEP1「お金の状況」では、金融資産の合計、毎月の支出、5年以内に使う予定、収入の入り方を尋ねます。ここが先ほどの引き算の材料です。あわせて、カードローンやリボ払いなど金利の高い借入があるかのチェックもあります。
STEP2「リスク許容度」は、年齢、そのお金をいつから何年かけて使うか、毎月の積立額、退職金や年金の見込み。STEP3「リスク選好度」は、どこまでの下落なら続けられるか、1年で30%下がったらどうするか、投資の経験、値動きの気になり方です。

「NISAやiDeCoの分はどう入れるか」「保険は含めるか」といったよくある質問は、STEP1「入力に迷ったら」に用意しています。
結果は、比率と金額の両方で出ます
結果では、まずリスク資産の比率が目安の幅つきで表示されます。あわせて、投資に回せるお金のうち実際にいくらをリスク資産にするか、金額でも示されます。金融資産全体に対する割合も併記しているので、「全体で見ると何%なのか」もわかります。
その下の帯グラフには、生活防衛資金・5年以内に使う予定・安全資産・リスク資産の4つが金額と割合で並びます。

そして、下がる場面を先に金額で見せます。「よくある調整(−10%)」「大きな下落(−30%)」「過去最大級(−60%)」の3段階について、リスク資産がいくら減り、手元にいくら残るかが表になります。
−30%と言われてもぴんときませんが、「180万円減って、残りは570万円」と書かれると、耐えられるかどうかの感覚がまるで違ってきます。比率を決める前に、この表を見ていただきたいと思っています。

このツールならではの、2つの気づき
ここからは、他のリスク許容度診断ではあまり見かけない2つの機能をご紹介します。
「耐えられる度合い」と「取りたい度合い」を分けて測ります
この診断は、STEP2とSTEP3で別のものを測っています。
リスク許容度は、期間・収入・将来の見込みから決まる「どれだけ損に耐えられる状況にあるか」。リスク選好度は、許容できる下落額や暴落時の行動から決まる「どれだけ取りたいと思っているか」。前者は状況の話、後者は気持ちの話です。
この2つは、しばしばずれます。結果画面には4象限の図が出て、「積極型」「慎重型」「要注意型」「保守型」のどこに位置するかが示されます。
ずれ方によって、次にやることが変わります。慎重型の方が無理に比率を上げても、下落局面で売ってしまえば意味がありません。要注意型の方が気持ちのまま比率を上げるのは、もっと危険です。

タテがリスク許容度(耐えられる度合い)、ヨコがリスク選好度(取りたい度合い)そもそも、どれだけ取る必要があるのかを逆算できます
結果画面の下に、任意で使える欄があります。目標額と時期を入れると、そこに届くのに必要な利回りと、そこから逆算した比率が出ます。
ここが、この診断でいちばんお伝えしたいところかもしれません。「取れる比率」より「必要な比率」のほうが低ければ、その差は取らなくてよいのです。
リスクは、取れるだけ取るものではありません。目標に届くのであれば、それ以上の値動きに付き合う理由はありません。この欄は、そのことを数字で確認するために置いています。

比率を出さないことがあります
このツールは、条件によっては比率を計算せずに止まります。
ひとつは、金利の高い借入がある場合。カードローンやリボ払いの金利は、運用で見込めるリターンを大きく上回ります。返済は確実に得られる利回りと同じ効果があるので、投資より優先度が高くなります。
もうひとつは、引き算をした結果、投資に回せるお金が残らなかった場合です。この状態でリスク資産を持つと、下がった局面で売らざるを得なくなります。
どちらの場合も、比率の代わりに「先にやること」を表示します。この段階の方に比率を提示することは、助けにならないと考えているためです。
まとめ
- 金融資産から近く使うお金と生活防衛資金を引いてから、比率を計算します
- 下落を%ではなく金額で先に見せるので、耐えられるかどうかを判断できます
- 「耐えられる度合い」と「取りたい度合い」のずれが、4象限でわかります
比率は、決めて終わりのものではありません。年齢も、収入も、使う予定も変わっていきます。そのうえで、限られたお金と時間をどう使えば自分にとって有意義なものになるかを考えていく。その順番が大切だと考えています。
皆様の資産形成の一助となれば幸いです。
※本ツールの結果は一般的な考え方にもとづく目安であり、特定の金融商品を推奨するものでも、個別の投資判断への助言でもありません。計算にあたっては、リスク資産の想定最大下落率を−60%(MSCI ACWI 円ベース・配当込みの過去最大下落 −61.4%に相当する水準)、期待リターンを年5%、安全資産の利回りを年0.5%と置いています。最終的な配分はご自身の判断で決めてください。