資産形成ハンドブックでは、無料・登録不要で使えるお金のツールを26本公開しています(2026年8月時点)。この記事ではそのうちの1本、「かんたんキャッシュフロー表」をご紹介します。
このまま行くと、10年後にお金はいくら残っているのか。途中で足りなくなる年はないか。
気にはなるけれど、調べるとなると腰が重い。家計簿を付けるところから始めるのは、なかなか続きません。このツールは、その手前にあります。思い出せる範囲の数字を入れるだけで、3分ほどで答えが出ます。

やっていることは、引き算とくり返しだけです
キャッシュフロー表というと難しそうですが、計算そのものは単純です。
1年ごとに、入ってくるお金から出ていくお金を引く。残れば預貯金に積み、足りなければ預貯金、それでも足りなければ投資資産の順に取り崩す。これを10年くり返すと、資産残高の推移と、途中で足りなくなる年が見えてきます。
ツールの冒頭にも、この流れを図にした「はじめに」の欄を置いています。まずここに目を通していただくと、あとの入力で迷いにくくなります。
入力は6つのブロックに分かれています
上から順に埋めていくだけです。
①あなたのことでは、年齢と試算する期間を決めます。期間は5年・10年・15年から選べます。既定は10年です。配偶者の分も、ここで切り替えれば入力できます。
②収入(手取り)には、手取りの年収を入れます。ここが大事なところで、額面ではなく手取りです。あわせて何歳まで働くか、昇給率も指定できます。退職後については、公的年金・退職金・企業年金をそれぞれ受け取り年齢とセットで入れられます。

③支出は、住居費を除いた1年ぶんの合計です。ここに家賃や住宅ローンを含めると二重に数えることになるため、その疑いがあるときはツールから知らせるようにしています。インフレ率と、退職後に支出がどう変わるかもここで設定します。
④住まいは、「持ち家(ローン返済中)」「持ち家(ローン完済・なし)」「賃貸」の3つから選びます。ローン返済中を選ぶと残高・残りの年数・金利を入力する欄が開き、返済が終わった翌年から負担が軽くなるところまで計算に反映されます。

⑤いまの資産は、預貯金と投資資産を分けて入れます。取り崩しは預貯金から先に行うため、この区別が必要になります。⑥大きな支出の予定は任意です。車の買い替えやリフォームなど、その年だけ発生する支出があれば入れてください。
結果は、ひと言の判定・グラフ・表で読みます
入力し終えると、まずひと言の判定が出ます。このまま行けば資産は増えるのか、取り崩しながら持ちこたえるのか、それとも途中で尽きるのか。最初に結論を示すようにしています。

続いて、資産残高の推移が棒グラフで表示されます。いちばん左がいまの残高で、そこから1年ずつ並びます。伸び続けるのか、どこかで下がり始めるのかが、目で見てわかります。

いちばん下には、年ごとの収入・支出・収支・資産残高を並べた年次キャッシュフロー表があります。背景色が付いた年は、収入より支出が多く、資産から取り崩す年です。項目が多いと感じる場合は「主要な行だけ表示」に切り替えると、主な行だけに絞れます。
結果は印刷やPDF保存ができるほか、CSVでのダウンロードにも対応しています。
このツールならではの、2つの気づき
ここからは、他の家計シミュレーターではあまり見かけない2つの点をご紹介します。
「何年目に尽きるか」と「いくら足りないか」がわかります
多くの家計ツールは、最終年の残高を教えてくれます。ただ、本当に知りたいのは途中で行き詰まらないかのほうではないでしょうか。
このツールは、資産が尽きる年を示し、さらに期間の終わりまでに累計でいくら足りないのかまで計算します。
「10年後にマイナス」と言われても打ち手は思いつきませんが、「7年目に尽きて、10年目までに400万円足りない」とわかれば話は変わります。年40万円ほど収支を改善すれば届く、という見当が付くためです。足りないという事実より、いくら足りないかのほうが、次の一手につながります。

入力をそのまま、ライフプランシミュレーターへ渡せます
気になる結果が出たとき、次にやることはもっと詳しく試算することです。
そのための引き継ぎ機能があります。リンクを押すと、ここで入力した内容を持ったままライフプランシミュレーターが開きます。入力し直す必要はありません。教育費、保険、親の介護、複数のプランの比較まで、そちらで細かく作り込めます。
このツールは、その入口として作っています。ざっくり見て、気になったら詳しく見る。その順番で進めていただければと思います。
なお、引き継げない項目もあります。試算期間や、期間の外にある大きな支出などです。ツールの画面にその一覧を載せていますので、進む前に目を通してみてください。

税金と社会保険料は、扱っていません
このツールは、税金も社会保険料も計算しません。だから収入は手取りで入力していただく形にしています。
物足りなく感じられるかもしれませんが、これは意図的なものです。税や社会保険を扱い始めると、扶養の状況や控除の有無を聞くことになり、入力が一気に増えます。3分で終わることのほうが、この段階では大事だと考えました。
手取り額がはっきりしない方は、給与手取り計算シミュレーターで先に確認していただくと確実です。
まとめ
- 6つのブロックを埋めるだけで、10年後の資産残高まで3分でわかります
- 資産が尽きる年と、累計でいくら足りないかまで出ます
- 入力はそのままライフプランシミュレーターへ引き継げます
家計の全体像をつかむのに、家計簿は必ずしも必要ありません。まずざっくり見て、気になったところだけ詳しく見る。そのうえで、限られたお金と時間をどう使えば自分にとって有意義なものになるかを考えていく。その順番が大切だと考えています。
皆様の資産形成の一助となれば幸いです。
※本ツールの計算は、入力いただいた前提にもとづく概算です。税金・社会保険料は考慮していません(収入は手取りで入力してください)。物価上昇を反映しているのは生活費と持ち家の維持費で、家賃は別の上昇率で計算します。住宅ローンの返済額・公的年金・退職金・企業年金・大きな支出には物価上昇を掛けていません。将来の収入・物価・運用成果を保証するものではありません。