資産形成ハンドブックでは、無料・登録不要で使えるお金のツールを21本公開しています(2026年8月時点)。この記事ではそのうちの1本、「給与手取り計算シミュレーター」をご紹介します。
「年収は上がったはずなのに、思ったほど手元のお金は増えていない」。そのように感じられることもあるのではないでしょうか。
額面と手取りの差は、何にいくら引かれた結果なのか。意外とわからないまま過ごしている方が多いのではないかと思います。このツールは、その中身を1つずつ分解してお見せするためのものです。

引かれるものは、たった3つです
給与から引かれるものは、大きく3つしかありません。健康保険や厚生年金などの社会保険料、所得税、そして住民税です。
このうち社会保険料は、給与の額そのものではなく「標準報酬月額」という区切りのよい金額をもとに計算されます。所得税は毎月の給与から概算で引かれ、年末調整で精算されます。住民税だけは1年遅れて請求が来ます。
3つとも計算のしかたが違うため、まとめて眺めていると「なぜこの金額なのか」が見えにくくなります。そこでこのツールでは、3つを分けて表示するようにしています。
まずは源泉徴収票から、実際の手取りを出してみます
ツールを開くと、最初に表示されるのは「源泉徴収票から計算する」モードです。お手元に源泉徴収票を1枚ご用意ください。
入力するのは3か所だけです。「支払金額」「源泉徴収税額」「社会保険料等の金額」を、票に書かれているとおり円単位で転記します。
「票のどこを見ればいいのかわからない」という場合は、各カードにある「読み方ガイド」を押してみてください。源泉徴収票の模式図が開き、入力すべき3か所がオレンジ色で示されます。ご自身が入力した数字もその図の上に表示されるので、書類のどこを見ればよいかがひと目でわかるはずです。

住民税は源泉徴収票には載っていません。そこで、給与明細に書かれている7月以降の住民税の月額を1つだけ入力していただきます。住民税は6月分だけ端数がまとめて上乗せされるしくみのため、6月分ではなく7月以降の金額を使うのがポイントです。より正確に出したい方は、6月分も追加で入力できるようにしてあります。

たとえば令和7年分の源泉徴収票で、支払金額480万円、源泉徴収税額99,700円、社会保険料等の金額728,000円、住民税が月18,600円だったとします。この場合、1年間の手取りは約375万円となります。
これからの手取りは「見込み」モードで
転職や昇給を控えている方、これから就職される方は、上部のタブを「見込みで試算する」に切り替えてください。過去の実績ではなく、これからの手取りを試算するモードです。
入力は、年収1本で入れる方法と、月給+賞与に分けて入れる方法の2通りから選べます。あわせて年齢、お住まいの都道府県、加入している健康保険を選ぶと、令和8年分の税制と令和8年度の社会保険料率にもとづいて手取りが計算されます。
年収480万円、42歳、東京都、協会けんぽ、通勤手当が月1万円、扶養家族なしという前提で試算すると、手取りは約373万円、手取り率は77.8%となりました。

このツールならではの、2つの気づき
ここからは、他の手取り計算ツールではあまり見かけない2つの機能をご紹介します。
住民税は1年遅れてやってきます
結果画面には、住民税がいつ引かれるかを示すタイムラインが表示されます。今年の所得に対する住民税は、翌年6月から翌々年5月にかけて引かれるためです。
社会人2年目に手取りが減ったように感じるのも、退職した翌年に思わぬ請求が届くのも、このズレが原因です。頭ではわかっていても、図で見ると納得感が違うのではないでしょうか。

昇給しても、1年目と2年目で手取りが違います
「見込み」モードには、昇給・転職シミュレーションを用意しました。「+30万円」といったボタンを押すだけで、いまと変更後の手取りを並べて比較できます。
ここでお伝えしたいのは、増えた額面のうち手元に残るのは一部だけだということ、そしてもう1つ、変更1年目と2年目以降で手取りが違うということです。昇給した年の住民税は前年の所得にもとづくため、1年目は少なめで済みます。翌年、住民税が上がって「手取りが減った」と感じる方が少なくありません。この差額も計算して表示するようにしました。

「手取り」と振込額は、別ものです
最後に1つだけご注意ください。このツールでいう「手取り」は、社会保険料と税金だけを引いた金額です。
なお、通勤手当は非課税で支給されるため、この「手取り」には含めていません。実際の振込額は、通勤手当が加わり、そのうえで下記の天引きが引かれた金額になります。
大企業や官公庁にお勤めの方は、財形貯蓄、持株会、団体保険料、共済会費、組合費、社宅費なども給与から引かれています。そのため、その分だけ振込額は少なくなります。計算が間違っているわけではありません。
このうち財形貯蓄や持株会は、出ていくお金ではなく資産として積み上がっているお金です。家計を把握する際には、貯蓄として足し戻して考えていただければと思います。
まとめ
- 源泉徴収票の3か所を入れるだけで、実際の手取りがわかります
- 「見込み」モードに切り替えれば、これからの手取りも試算できます
- 住民税の1年遅れと、昇給1年目・2年目の差が図で確認できます
手取りを正確に把握することは、家計の現在地をたしかめる出発点です。そのうえで、そのお金をどう使えば自分にとって有意義なものになるかを考えていく。その順番が大切だと考えています。
皆様の資産形成の一助となれば幸いです。
※本記事および本ツールの計算は、令和8年分の税制および令和8年度の社会保険料率にもとづく概算です。実際の金額はお勤め先の制度やお住まいの自治体により異なります。正確な金額は、お勤め先や税務署、お住まいの市区町村へご確認ください。