資産形成ハンドブックでは、無料・登録不要で使えるお金のツールを21本公開しています(2026年8月時点)。この記事ではそのうちの1本、メインツールである「ライフプランシミュレーター」をご紹介します。
「老後にはウン千万円必要」といった数字を目にすることがあります。ただ、そう言われても自分の場合はいくらなのかは、やはりわかりません。
必要な金額は、家族構成でも、働き方でも、住まいが賃貸か持ち家かでも大きく変わります。このツールは、ご自身の前提を入れて、生涯にわたる家計と資産の動きを1年ずつ積み上げて試算するためのものです。

ライフプランは、4つの要素でできています
複雑に見えるライフプランも、分解すれば4つです。
収入(給与、退職金、公的年金、その他の収入)、支出(基本生活費、住居費、教育費、保険料、その他の支出)、住まい(賃貸か持ち家か、住宅ローンの条件)、そしてライフイベント(進学、車の買い替え、リフォームなど、その年だけ発生する支出)。
この4つを1年ごとに積み上げていけば、毎年の収支と資産残高の推移が出ます。理屈としては単純です。
やっかいなのは、これらが数十年にわたって変わり続けることです。子どもの教育費は特定の時期に集中し、住宅ローンはいつか終わり、給与はいずれ年金に切り替わります。手計算で追うのは現実的ではありません。そこをツールに任せる、というのがこのシミュレーターの役割です。
入力は、家族構成から始めます
最初に入力するのは、ご本人と配偶者の年齢、お子さんの人数と年齢です。ここが決まると、教育費や年金の受け取り開始が何年後なのかが自動的に決まります。
あとは収入、支出、住まいの順に埋めていきます。給与・退職金・公的年金・住居費・教育費・保険料には専用の入力欄がありますので、そこに入れてください。それ以外は「その他収入」「その他支出」にまとめます。

入力欄の右にある「▼候補」を押すと、よく使われる項目から選択できます。収入なら副業や家賃収入、支出なら親の介護費用や車の維持費といったものです。ゼロから言葉を考えなくて済みます。
ひとつ迷いやすいのが、企業年金やiDeCoを年金の形で受け取る場合です。これは退職金の欄でも公的年金の欄でもなく、「その他収入」に入れてください。
試算する期間も選べます。既定は30年後までですが、50年後まで、あるいはご本人が100歳になるまでといった任意の年数に変えられます。老後の後半まで見たいときは、長めに取ってください。
結果は、2つのグラフと年表で読みます
入力すると、結果がすぐ下に表示されます。見るべきものは3つです。
年間収支の推移グラフは、その年の収入と支出の差です。どの年が赤字になるのかが見えます。子どもの大学在学中や、退職から年金開始までの期間が沈むことが多いはずです。
資産残高の推移グラフは、貯蓄と運用資産の合計です。資産がいつピークを迎え、その後どう減っていくのかがわかります。また、マイホームや住宅ローンの金額も反映されますので、住宅ローンの返済完了時期も明確になります。

ライフイベント年表には、西暦・経過年数・ご家族それぞれの年齢と、その年に起きることが一覧で並びます。「試算からわかる節目」の列には、教育費のピークや住宅ローンの完済といった転換点が表示されます。

なお、結果は10ページほどのPDFにまとめて保存できます。表紙に前提と結果の要点、そして目次が付いた形です。ご家族と共有したり、シミュレーション結果を保存する際にお使いください。
このツールならではの、2つの気づき
ここからは、他のライフプランツールではあまり見かけない2つの機能をご紹介します。
どの前提が結果を動かすのかがわかります
運用利回り、昇給率、生活費、年金の受け取り開始年齢。ライフプランには前提がたくさんありますが、そのすべてが同じように結果を動かすわけではありません。
感度分析を使うと、どの前提がどれだけ結果に効くのかが、影響の大きい順に並びます。効き方の小さい前提を細かく悩んでも意味がなく、逆に効き方の大きい前提だけは慎重に置く必要がある、ということが目で見てわかります。
特にインフレ率と投資の運用利回りについては、それぞれが±1%変化した場合に、全体にどのくらい影響が出るか、自動的に計算します。

複数のプランを並べて比べられます
転職する場合としない場合。住宅を購入する場合と借り続ける場合。子どもを私立に進ませる場合と公立の場合。
シナリオ比較を使うと、これらを並べて表示できます。それぞれの金額そのものより、両者の差がどれくらい開くかを見ていただきたいと思っています。差が小さければ、そこはお金以外の基準で決めてよい、という判断ができるためです。

「1本の線」を信じすぎないでください
最後に、いちばんお伝えしたいことです。
グラフは1本の線で描かれますが、これは入力した前提どおりに何十年も進んだ場合の、ひとつの筋書きにすぎません。運用利回りも、昇給も、支出も、そのとおりにはなりません。線が当たることは、まずないと考えてください。
だからこそ、感度分析とシナリオ比較を用意しています。このツールの使い方は「何年後にいくらになるか」を知ることではなく、「どの前提が効くのか」「どちらの選択肢のほうが持ちこたえるのか」を知ることだと考えています。
もし資産が途中で底をつく結果が出ても、それは確定した未来ではありません。いま何かを変えれば、線も変わります。そのために試算する、という順番です。
まとめ
- 4つの要素を入れるだけで、生涯にわたる家計と資産の推移がグラフでわかります
- ライフイベント年表で、いつ何が起きるのかを一覧で確認できます
- 感度分析とシナリオ比較で、前提が変わったときのブレ幅まで見られます
ライフプランは、未来を当てるために立てるものではありません。いくつかある選択肢のうち、どれを選ぶかを決めるために立てるものです。そのうえで、限られたお金と時間をどう使えば自分にとって有意義なものになるか(ウェルスペント)を考えていく。その順番が大切だと考えています。
皆様の資産形成の一助となれば幸いです。
※本ツールの計算は、入力いただいた前提にもとづく概算です。税制や社会保険の制度、運用環境は将来変わります。実際の金額を保証するものではありません。