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株式会社ウェルスペントのファイナンシャルプランナー、横田健一です。

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人生の3大資金(住宅、教育、老後)の一つである老後資金について、2回にわたって確認してきました。

 

老後資金は3000万円?(1)その根拠を確認!男性は84歳、女性は89歳まで?老後の生活費は夫婦で8214万円?

老後資金は3000万円?(2)公的年金は夫婦で月額22万円?結局、老後資金はいくら必要?

 

これまでは60歳の同い年夫婦で専業主婦世帯を想定していましたが、家族の条件が変わった場合にどのようになるか、確認していきたいと思います。

 

平均的な生活費の場合、老後資金は2112万円(おさらい)

まずこれまでの結果をまとめておきます。

前提条件

  • 旦那さん60歳、奥様60歳の同い年夫婦を想定
  • 60歳時点の平均余命を参考に、旦那さんは84歳まで、奥様は89歳まで生きる
  • 60歳以降の生活費は、平均的(総務省の家計調査より)

結論

  • 60歳以降の生活費総額は、8214万円
  • 65歳以降の公的年金収入は、6102万円
  • 自分で準備すべき老後資金は、2112万円(= 8214万円 ー 6102万円)

 

夫婦で年の差がある場合や共働きの場合は?

では、夫婦で年の差がある場合や、共働きの場合はどうなるのでしょうか。

 

次のような事例で計算してみます。

  • 夫婦で年の差が5歳ある場合(5歳下、同い年、5歳上)
  • 共働きの場合(旦那さん、奥様ともに、同額の公的年金を受給)

 

計算の過程は基本的に同じですので、結果だけ表にまとめてみると、次のようになります。

(旦那さんの年齢、
奥様の年齢)
専業主婦(夫)世帯共働き世帯
(60,55)生活費 - 公的年金収入
= 9066 - 6705
= 2361(不足)
生活費 - 公的年金収入
= 9066 - 8619
= 447(不足)
(60,60)生活費 - 公的年金収入
= 8214 - 6102
= 2112(不足)
生活費 - 公的年金収入
= 8214 - 8424
= -210(余剰)
(60,65)生活費 - 公的年金収入
= 7362 - 5694
= 1668(不足)
生活費 - 公的年金収入
= 7362 - 8424
= -1062(余剰)

 

まず一番左の列が、旦那さんの年齢、奥様の年齢を順に書いており、(60, 65)というのは旦那さんが60歳、奥様が65歳のご夫婦ということを表しています。

そして、それぞれ、専業主婦(夫)世帯、共働き世帯の事例で計算しています(補足1:末尾参照)。

 

また、共働きの場合、夫婦ともに同額の年金を受給できると仮定し、

老齢基礎年金 + 老齢厚生年金 = 年額187万円(月額15.6万円)

を65歳から、それぞれ受給できるとしています。なお、旦那さん亡き後の遺族年金は、遺族基礎年金、遺族厚生年金ともに受給しないという前提で計算しています(補足2:末尾参照)。

 

表の中にも書いてありますが、ご夫婦の生活費総額から公的年金収入を差し引いて、必要準備額を計算しています。

 

この表を見て頂くとまずわかるのは、奥様が年下のご夫婦ほど、老後資金が必要になる、ということです。

考えてみれば当然ですが、奥様が5歳下の場合、旦那さんが亡くなられる84歳時点では79歳ですので、今回の奥様は89歳まで生きるという前提では、お一人でさらに10年間生活していくことになります。

一方、奥様が5歳年上の場合、旦那さんが亡くなられる時点で、奥様は89歳であり、同じタイミングで亡くなられますので、その後の生活費が必要ありません。

 

また、同じ年齢構成で、専業主婦(夫)世帯と、共働き世帯を比較すると、共働き世帯の方が1900~2700万円ほど必要準備額は少なくなり、同い年、もしくは奥様が年上の共働き世帯では、公的年金収入が生活費を上回るため、老後資金の準備は必要ない、という結論になっています。

 

最後に

いかがでしたでしょうか?

 

ご夫婦の年齢構成、専業主婦(夫)か、共働きか、によって、老後資金としての必要準備額はこのように大きく変わることがわかりました。

 

もちろん、共働き世帯の方が、現役時代に収入が多いため、生活費が高いライフスタイルになってしまって、老後の生活費も高めになる可能性もあるかと思います。

 

年の差、収入水準など、各ご家庭の状況は異なりますので、ご自身の状況をきちんと確認しておくことが何よりも大切になってきます。

 

次回は、自営業者の方(国民年金第1号被保険者)の老後資金について確認したいと思います。

 

補足

少し細かい話ですので、読み飛ばして頂いて大丈夫ですが、念のため、以下、補足しておきます。

 

補足1:

詳細は割愛させて頂きますが、奥様が年下の場合、旦那さんが老齢年金を受給し始めてから奥様がご自身の老齢年金を受け取り始めるまでの間、加給年金として年額38.98万円受給額が増加します(昭和18年4月2日以降生まれの場合)。なお、ここでは18歳未満の子はおらず、振替加算はないものとして計算しています。

【ご参考】加給年金額と振替加算(日本年金機構)

 

補足2:

一般に、遺族基礎年金は18歳未満のお子さんがいれば受給可能ですが、旦那さんが84歳で亡くなられた時点で、奥様は若くても79歳の事例を考えていますので、遺族基礎年金は受給できないと仮定しています。また、遺族厚生年金は、旦那さんの分として受給可能な遺族厚生年金(旦那さんの老齢厚生年金の3/4)と、ご自身の老齢厚生年金のどちらか大きい金額を受給可能ですが、ここではご夫婦ともに同額の老齢厚生年金を受給できる前提にしていますので、奥様はご自身の老齢厚生年金のみを受給すると仮定しています。

【ご参考】遺族年金(日本年金機構)


皆様の資産形成の一助となれば幸いです。

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