資産形成ハンドブックでは、以下の記事でもご説明していますが、資産形成していく際にリターンを求めて投資する先としては、世界の株式に幅広く投資していくのがよいと考えています。
一般的に、世界の投資対象を地域の観点で分類する際には、日本、先進国、新興国といった形で整理されることが多いのが現状です。
そこで、日本、先進国、新興国のそれぞれの株式に投資することを念頭に、それぞれの割合(浮動株基準時価総額ベース)がどのようになっているか、最新の状況を確認しておきたいと思います。
「そもそも時価総額って?」という方は、まず以下の記事に目を通して頂ければと思います。
2020年11月末から新興国にクウェートが仲間入り!
いつものように具体的に12月末の状況を確認する前に、今回は新興国(MSCI エマージング・マーケット・インデックス)の対象に新しくクウェートが追加されていますので確認しておきましょう。
2020年11月11日8:11 午前
MSCI adds Kuwait stocks to emerging market index at 0.58% weight
DUBAI (Reuters) – MSCI, the world’s largest index provider, on Wednesday reclassified Kuwait stock indexes to emerging markets status from frontier, a move that could funnel at least $2 billion in passive investment flows.
Seven Kuwaiti securities will be added to the benchmark MSCI Emerging Markets Index .MSCIEF at an aggregate weight of 0.58%, MSCI said.
Kuwait will effectively be reclassified to the Emerging Market Index after the Nov. 30 close, while the deletion of Kuwaiti securities from the Frontier Markets 100 index .MXFM100 will be phased over five successive index reviews, MSCI said.
The implementation was originally expected in May but was delayed because of the COVID-19 pandemic. MSCI announced Kuwait’s reclassification late last year.
(後略)
ロイターの記事によると、新興国の中でクウェートの占める割合は0.58%で、2020年11月30日の引け後に組み入れられています。
当初5月に組み入れが予定されていたようですが、新型コロナウィルスの影響により、6ヶ月ほど延期されて実施されています。
この結果、MSCIの新興国株式インデックスは、これまでの26ヶ国から27ヶ国へ対象国が拡大されたことになります。個別銘柄で投資していたら自分ですべて選んでいくわけですが、インデックスファンドで投資している場合には、このような変更はファンドの中で運用会社が行ってくれるので、投資家としては手間がかからなくていいですね。
さらに投資対象が分散されたことになりますね。
では、いつも通り、3ヶ月前のデータから確認していきましょう。
2020年9月末における世界の株式時価総額
まずは3ヶ月前の、2020年9月末の状況です。
これを見ると、
日本:先進国:新興国 = 6.9 : 80.7 : 12.4 ~ 7 : 81 : 12
となっていることがわかります。
2020年12月末における世界の株式時価総額
次に、最新の2020年12月末の状況です。
これを見ると、
日本:先進国:新興国 = 6.8 : 79.9 : 13.3 ~ 7 : 80 : 13
となっていることがわかります。
新興国の割合が9月末の12.4%から13.3%へと0.9%上昇しています!
(パフォーマンスがよかったことが主因だと思いますが、わずかだと思いますが、クウェートが組み入れられた影響もゼロではないと思います。)
ちなみに、もっとざっくりでよければ
日本:先進国:新興国 = 1 : 8 : 1
になります。
銘柄数は前回と比較して12銘柄減少(日本 -19、先進国 -3、新興国 +10)しています。
それでも合計2,982銘柄となっており、これだけ幅広く分散投資できれば十分ですね!
今なら1本の投資信託で、このように3,000銘柄近くに手軽に分散して投資することが可能です(投資信託によっては約9,000銘柄のものも)。
本当にいい時代になったと思います!
ちなみに、日本、先進国、新興国をすべて合わせたMSCI ACWI(オールカントリーワールドインデックス)の構成銘柄上位10銘柄は以下の通りです。
以下の3ヶ月前と比べると
- TESLAが新しく6位に登場した一方、JOHNSON & JOHNSONが抜けた
- ALIBABA や TENCENTなど中国勢の順位が低下
- 上位10社の時価総額合計は約8兆ドルから、約8.8兆ドルへと約1割増加したこと
がわかります。
2020年12月末までのMSCI浮動株基準時価総額の推移
2018年3月末以降の推移を四半期ごとに見ると以下のグラフのようになっています。
2018年3月と今回の2020年12月のデータを比較すると、日本を除く先進国や約79.9%とほぼ変わらず、日本はマイナス1.2%、新興国がプラス1.1%ということで、日本の低下分が新興国にシフトしていることがわかります。
基本は時価総額の変動に任せて時価総額ベースで保有していればよいと思いますが、この記事を読まれている方でお仕事をされている方は、ほとんどの方が日本でお仕事をされ、日本円を稼いでいる方かと思います。
そういった方は、以下の記事で紹介したような考え方で、保有されている金融資産はあえて日本以外を少し多めに、というのも一つの考え方になります(ちなみに、「日本人だから日本株式だけに投資する」というのはオススメ致しません!)。
また時価総額の絶対水準をグラフにすると次のようになります。
9月末の約51.4兆ドルから15%ほど増加し、12月末には約59.2兆ドルへと増加していることがわかります。
一時的にコロナショックはありましたが、グッとガマンして継続保有(もしくは積立継続)していれば正解でしたね。
(もちろん個別銘柄で見れば、勝者、敗者の優劣はいろいろだと思います。それが事前に予測できればいいのですが、それは難しい、だからこその分散投資です!)
2020年の実績リターンについては以下の記事で確認していますので、よろしければこちらもご覧いただければと思います。
アセットアロケーションに正解はない、と言われることもありますが、資産形成ハンドブックでは、
全世界の株式を時価総額ベースで保有する
というのが基本的な考え方になると考えています。
ご参考となれば幸いです。