(画像は、厚生労働省「年金ポータル」プレスリリースより)
日本は、国民皆年金の国で、誰もが加入している公的年金ですが、その制度の基本を理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。
よくメディア等では、「公的年金」と呼ばれていますが、より正確には「公的年金保険」です。
つまり、生命保険や損害保険などと同様に「保険」の一種であって、民間の会社が提供している「保険」ではないものの、「公的」という文字通り、日本という国が提供している「保険」なのです。
ということで、本日は、公的年金保険制度の基本である、その目的を確認していきたいと思います。
まずは少しカタイ感じになってしまいますが、公的年金を定めている法律の条文を確認してみたいと思います。
国民年金法 第一条
まずは誰もが加入している国民年金です。
第一条 国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。
(国民年金法 第一条)
第一条だけですが、これを読むと、国民生活の安定が
- 老齢
- 障害
- 死亡
のいずれかによって損なわれることを防ぐことが目的だ、と書いてあります。
厚生年金保険法 第一条
次に、主に会社員・公務員の方が加入されている厚生年金保険です。
第一条 この法律は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
(厚生年金保険法 第一条)
これを読むと、労働者が
- 老齢
- 障害
- 死亡
のいずれかになった場合、保険給付を行って、労働者やその遺族の生活安定と福祉向上が目的だ、と書いてあります。
国民年金のように国民と幅広いわけではなく、「労働者」と限定はされていますが、基本的な考え方は同じですね。
老齢、障害、死亡
国民年金、厚生年金ともに、共通して出てきたキーワードが、老齢、障害、死亡の3つですね。
一般的に、
- 生命保険で死亡した場合
- 火災保険で火事が発生した場合
- 自動車保険で交通事故が起きた場合
など、保険金が支払われることになる原因は、
保険事故(もしくは、支払事由)
と呼ばれていますが、公的年金保険の場合の保険事故(支払事由)に該当するのが、まさに
- 老齢
- 障害
- 死亡
の3つというわけです。
「公的年金は老後に受け取るもの」と理解されている方もいらっしゃるかと思いますが、公的年金保険は、老後(老齢)だけではなく、障害になったり、死亡した場合にも、保険給付を受けられる保険なわけです。
ざっくり言えば、
- 老齢というのは、「高齢になることで、勤労による収入がなくなってしまう」
- 障害というのは、「障害を負うことで、勤労による収入がなくなってしまう」
- 死亡というのは、「死亡することで、それまで生活を支えられていた遺族が生活に困ってしまう」
ということかと思います。
ちょうど、一昨日、厚生労働省が、年金について知りたいことがすぐに探せるポータルサイト「年金ポータル」を開設しましたので、このサイトで年金の基本的な事項だけでも勉強してみてはいかがでしょうか。
厚生労働省プレスリリース:「年金ポータル」を開設しました!(2019/04/16)