資産形成ハンドブックでは、以下の記事でもご説明していますが、資産形成していく際にリターンを求めて投資する先としては、世界の株式に幅広く投資していくのがよいと考えています。
一般的に、世界の投資対象を地域の観点で分類する際には、日本、先進国、新興国といった形で整理されることが多いのが現状です。
そこで、日本、先進国、新興国のそれぞれの株式に投資することをイメージして、それぞれの割合(浮動株基準時価総額ベース)がどのようになっているか、最新の状況を確認しておきたいと思います。
「そもそも時価総額って?」という方は、まず以下の記事に目を通して頂ければと思います。
MSCI株式インデックスの対象国
本記事で対象としているのは、MSCI社が算出している株式インデックスですが、その構成国一覧は次のようになっています。
ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)は先進国と新興国の両方を含んでおり、先進国と新興国のそれぞれについては個別にインデックスが算出されています。
- MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス):先進国、新興国を対象とする47ヶ国
- MSCI ワールドインデックス:日本を含む先進国23ヶ国
- MSCI ジャパン:日本のみ
- MSCI コクサイ:日本を除く先進国22ヶ国
- MSCI エマージング・マーケット・インデックス:新興国24ヶ国
- MSCI ワールドインデックス:日本を含む先進国23ヶ国
2022年12月末における世界の株式時価総額
まず3ヶ月前の2022年12月末の状況を確認すると、次のようになっていました。
これを見ると、
日本(Japan):先進国(Kokusai):新興国(Emerging Markets) = 5.6 : 83.2 : 11.2 ~ 6 : 83 : 11
となっていることがわかります。
なお、米国1ヶ国だけで約6割となっています。
米国株式か、世界株式か、と言われることがありますが、世界株式の6割は米国株式ですから、かなりの部分が重複していることが確認できます。
2023年3月末における世界の株式時価総額
次に、最新の2023年3月末の状況です。
これを見ると、
日本(Japan):先進国(Kokusai):新興国(Emerging Markets) = 5.5 : 83.6 : 10.9 ~ 6 : 83 : 11
となっていることがわかります。
前回12月末と比べると、世界全体の時価総額は6.7%ほど回復(56.2兆ドル→59.9兆ドル)していますが、構成割合(日本、先進国、新興国)についてはほぼ変わらず、といった感じです。
ちなみに、銘柄数は全体で2,885銘柄から2,888銘柄へと、前回と比較して3銘柄増加(日本 ±0、先進国 +1、新興国+2)しています。
合計2,888銘柄となっており、分散投資という観点ではこれだけ幅広く投資できれば十分ですね!
今なら1本の投資信託で、このように3,000銘柄近くに手軽に分散して投資することが可能です(投資信託によっては約9,000銘柄のものも)。
毎回書いてますが、本当にいい時代になりました!
MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)の構成銘柄トップ10
日本、先進国、新興国をすべて合わせたMSCI ACWI(オールカントリーワールドインデックス)の構成銘柄上位10銘柄を確認していきます。
まず前回3ヶ月前は以下の通りです。
そして、今回の2023年3月末は次のようになっています。
3ヶ月前と比べると、以下のようなことがわかります。
- 上位10社の顔ぶれは、JOHNSON & JOHNSON、BERKSHIRE HATHAWAY B、JPMORGAN CHASE & COが消え、代わりにNVIDIA、TESLA、META PLATFORMS Aが入った。
- 上位10社の時価総額(Float Adj Mkt Cap)合計は約9.4兆ドルと、20.8%の増加
- 上位10社の占める割合は13.86%から15.69%へと1.8%上昇
- APPLEのウェイトが3.71%から4.37%へと大幅に回復
ということで、前回の記事ではGAFAMの存在感が大幅に低下していましたが、今回はGAFAMが大復活という感じです。
こういうマーケットの変化を読むことは難しいので、資産形成ならとにかく幅広く分散投資しつつ、保有を継続するのが基本だと考えています。
2018年4月以降の上位10社シェアの推移は次のようになります。
今回は少し前の水準まで回復していることが確認できます(折れ線グラフが、全時価総額に対する上位10社の時価総額の割合です)。
2023年3月末までのMSCI浮動株基準時価総額の推移
2018年3月末以降について、日本、先進国(日本を除く)、新興国の構成割合の推移を四半期ごとに確認すると次のグラフのようになっています。
当初と比べると、先進国(日本を除く)の割合が上昇する一方、新興国、日本の割合が低下していることが確認できます。
基本は時価総額の変動に任せて時価総額ベースで保有していればよいと思いますが、この記事を読まれている方でお仕事をされている方は、ほとんどの方が日本でお仕事をされ、日本円を稼いでいるかと思います。
そういった方は、以下の記事で紹介したような考え方で、保有されている金融資産はあえて日本以外を少し多めに、というのも一つの考え方になります(ちなみに、「日本人だから日本株式だけに投資する」というのはオススメ致しません!)。
日本経済の成長が期待しづらい中、自分の時間を使って働く収入も(各個人で事情は異なると思いますが、一般論で言えば)増加が見込みづらいかと思いますので、せめて自分のお金には海外で働いてもらうことで全世界並みの成長を享受していきたいところです。
また、最近の円安、インフレという面からも、日本円だけの資産を保有しているというのは、購買力を維持、向上させていくという観点からは、おすすめできません!
そして、この観点からは「為替ヘッジなし」が基本になります!(「為替ヘッジあり」の投資信託を購入する必要はありません!)
次に、2018年3月末以降について、時価総額の絶対額をグラフにすると次のようになります。
12月末の約56.2兆ドルからさらに回復し、3月末には約60.0兆ドルまで戻っています。
一喜一憂せず、長期的にゆったりどっしり資産形成していきましょう!
フツーの人にとってのリスク資産は全世界株式インデックスファンド1本でOK!
「アセットアロケーションに正解はない」と言われることもありますが、資産形成ハンドブックではリスク資産(リスクをとって高めのリターンを期待して保有する資産)については
全世界の株式を時価総額ベースで保有する
というのが基本的な考え方になると考えています。
もっと高いリターンを!と追求し始めるとキリが無くなります。また、そのための時間やお金といった負担が大きくなってしまいます。
資産形成に手間をかけたくないフツーの人なら、
全世界株式を対象とした時価総額ベースで低コストのインデックスファンド一本でよい
と思います。
個人個人で取れるリスク量が異なると思いますが、そのあたりは、
安全資産(預貯金などの元本保証商品)とリスク資産(主に株式を対象とした投資信託)の配分比率で調整すればよい
と考えています。なお、この考え方はトービンの分離定理と言われるものです。
ご参考としていただけましたら幸いです。