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日本債券インデックスファンドを買ってはいけない!少なくとも今は。(2021年3月)

投稿日:

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本記事の解説動画(YouTube)です。

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ここ最近、日米の国債利回りが上昇しています。

米国では1.6%程度、日本では0.15%程度といった水準まで上昇しました(上昇したと言っても、日本は米国の10分の1程度です)。

 

2018年に、以下の2つの記事を書き、日本債券インデックスファンドを買ってはいけない!とお伝えしましたが、個人の方が資産形成するにあたり、日本債券というアセットクラスを保有していくべきなのか、足下の状況から、あらためて確認してみたいと思います。

日本債券インデックスファンドを買ってはいけない!少なくとも今は。(2018年7月)

日本債券インデックスファンドを買ってはいけない!少なくとも今は。(2018年9月)

 

これらの記事は、簡単に言うと、

投資対象である日本債券の期待利回りは0.12~0.19%程度であるのに、それよりも高いもしくは同程度の運用管理費用(信託報酬)などを払ってしまっては、投資家としては期待運用利回り(リターン)がマイナスになってしまう

というお話でした。

 

ということで、まずは足元の状況を確認してみたいと思います。

 

NOMURA-BPI 月次データ(2021年02月26日)

一般的に、インデックスファンドは、特定のインデックスをベンチマークと定め、それに連動するように運用される投資信託です。

日本債券インデックスファンドの場合、ベンチマークとして利用されるインデックスとしては、NOMURA-BPI 総合が一般的ですので、以下ではNOMURA-BPI 総合で確認していきます。

 

まず、NOMURA-BPIの2021年2月末時点での月次データを確認してみましょう。

月次 投資収益指数 およびポートフォリオ指標(最新のデータはこちら)

 

赤丸で囲っていますが、期待利回りは0.19%程度のようです。

 

 

次に前回、2018年9月のデータを確認してみます。

 

NOMURA-BPI 日次データ(2018年09月10日)

2年半ほど前、9月10日時点でのNOMURA-BPIのデータを確認してみます。

日次 投資収益指数 およびポートフォリオ指標(最新のデータはこちら)

 

同じく赤丸で囲っていますが、期待利回りは0.19%程度のようです。

 

 

日本国債インデックスファンドのベンチマークで、投資対象となっているNOMURA-BPI 総合の最新の利回りは、たまたまですが、同様の記事を最後に書いた2018年9月と同じ水準になっているようです。

 

日本国債10年の利回り推移とインデックスファンドの基準価額の推移

NOMURA-BPI 総合だとわかりづらいところもあると思いますので、債券の中でも特に指標とされる日本国債10年(日本政府が発行している期間10年の債券)の利回り推移を確認してみます。

 

過去3年ほどの日本国債10年の利回りは次のように推移していたようです。

SBI証券より

 

このグラフからも明らかなように、現在の利回りは2018年9月頃の利回りと同水準になっています。

 

2018年9月頃から利回りは低下し続け2019年9月に底をつけた後、上昇し始めて現在の水準に至っています。

 

では、この期間に日本債券インデックスファンドを保有していたらどのようなリターンになったのでしょうか。

 

投資信託情報サイトであるモーニングスターで、日本債券インデックスファンドのうち運用残高が最も大きかったファンドについて基準価額の推移を確認してみたところ、次のようになっていました。

 

まず、このグラフを、上の日本国債10年のグラフと見比べてみると、ちょうど上下を反転させたような形になっていることがわかると思います。

債券は、利回りが下がると価格が上がり、利回りが上昇すると価格が下がる、という関係になっていますので、実際にそのようになっていることが確認できるかと思います。

 

さて、基準価額のグラフを確認してみると

  • グラフの左端が2018年3月2日で基準価額は12,910円
  • 基準価額が最も低くなったのは2018年10月4日で12,802円
  • そして、足元では2021年3月1日時点で12,943円

となっていることがわかります。

 

この投資信託は途中で分配金を払っていないので、基準価額の変化がそのまま投資家としてのリターンとなります。

 

左端の2018年3月2日に購入して、2021年3月1日まで保有していたらリターンは+0.26%(年率ではなく3年間の累計です!)

最も低くなった2018年10月4日に購入して、2021年3月1日まで保有していたらリターンは+1.10%(年率ではなく3年間の累計です!)

となっていたわけです。

 

ちなみに、基準価額が最も高くなったのは、2019年9月4日でその時は13,495円となっています。最安値の12,802円で購入し、最高値の13,495円で売却できたとしても、リターンは+5.14%でした。

もちろんこのように安値で購入し、高値で売り抜けるといったことは、ほぼ不可能です。プロの投資家でさえ難しいことですが、ましてや一般のフツーの人がやるのは現実的ではありません。

 

ここで何が言いたいのかというと、日本債券というアセットクラスは、現在のゼロ金利、マイナス金利時代においては、その値動きの幅は非常に小さく、そもそも現在の利回りが(コスト控除前で)0.2%にも満たない低水準であるため、利回りを期待した投資対象としては適切ではないということです。

 

日本債券に利回りは期待していない、という方もいらっしゃるかもしれませんが、その場合は円の預貯金(できればキャンペーンなどを利用した定期預金など)としておけば十分でしょう。

 

株式と債券は逆相関だからポートフォリオに組み込むべきという声もあるかもしれませんが、現在の利回り水準では、上で確認したように債券価格がそもそもほとんど動きません。つまり、株式の価格変動に対して、債券価格が逆の動きをしたとしても、その動きは微々たるもの。ポートフォリオ全体としてリスクを低減させるためには、例えば株式1に対して、債券を9もしくは19(それぞれ株式が全体の10%もしくは5%)といった、債券をかなり多めに保有しておく必要があるわけです。

 

具体的にグラフで見ると一目瞭然かと思います。次のグラフは、日本債券インデックスファンド(紫色)と、全世界株式インデックスファンド(緑色)について、2018年10月末以来の基準価額の推移です。

 

全世界株式インデックスファンドの方は大きく上がったり下がったりしていますが、それと比べると、日本債券インデックスファンドの動きはほぼないと言っても過言ではないでしょう。

 

ということで、この程度の話ならば、普通に預貯金で十分ではないでしょうか。

 

結論:やはり今も買うべきではない

ご覧頂いたように、日本国債インデックスファンドのベンチマークであり、投資対象となっているNOMURA-BPI 総合の最新の利回りは、

0.19%程度

となっています。

 

投資信託を利用して投資する場合、投資家としては、運用管理費用(信託報酬)や、監査費用などのその他費用を合計したコストを実質的に負担する必要があります

 

その合計コストが十分小さくない限りは、投資家としての期待できる利回りはかなり低く(場合によってはマイナス)になってしまうのです。

 

実際、モーニングスターのサイトで確認してみると、日本債券インデックスファンドの経費率は

0.13~0.55%程度

でしたので、期待利回りが0.19%程度(NOMURA-BPI 総合)では、投資対象として適切とは言えないでしょう。

 

やはり日本債券インデックスファンドは買ってはいけないのです。少なくとも今は。

 

 

ちなみに、バランスファンドやファンドラップに含まれている日本債券部分についても同じことが言え、こちらの場合は投資家が負担するコストがさらに高い傾向がありますから、ますます注意が必要です。

バランスファンド、ファンドラップの日本債券部分も同じですが、それでも今買いますか?

 

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横田 健一

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