
資産形成ハンドブックでは、以下の記事でもご説明していますが、資産形成していく際にリターンを求めて投資する先としては、世界の株式に幅広く投資していくのがよいと考えています。
一般的に、世界の投資対象を地域の観点で分類する際には、日本、先進国、新興国といった形で整理されることが多いのが現状です。
そこで、日本、先進国、新興国のそれぞれの株式に投資することをイメージして、それぞれの割合(浮動株基準時価総額ベース)がどのようになっているか、最新の状況を確認しておきたいと思います。
「そもそも時価総額って?」という方は、まず以下の記事に目を通して頂ければと思います。
MSCI株式インデックスの対象国
本記事で対象としているのは、MSCI社が算出している株式インデックスですが、その構成国一覧は次のようになっています。

ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)は先進国と新興国の両方を含んでおり、先進国と新興国のそれぞれについては個別にインデックスが算出されています。
- MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス):先進国、新興国を対象とする47ヶ国
- MSCI ワールドインデックス:日本を含む先進国23ヶ国
- MSCI ジャパン:日本のみ
- MSCI コクサイ:日本を除く先進国22ヶ国
- MSCI エマージング・マーケット・インデックス:新興国24ヶ国
- MSCI ワールドインデックス:日本を含む先進国23ヶ国
2024年6月末における世界の株式時価総額
まず3ヶ月前の2024年6月末の状況を確認すると、次のようになっていました。

米国1ヶ国だけで約64.7%となっています!
米国株式と世界株式ではどちらがいいか、と言われることがありますが、世界株式の6割強は米国株式ですから、かなりの部分が重複していることが確認できます。
2024年9月末における世界の株式時価総額
次に、最新の2024年9月末の状況です。

日本のシェアはさらに低下し、5%程度まで下がっています。
前回6月末と比べて、世界全体の時価総額(米ドル建て)は6.1%ほど増加(73.7兆ドル→78.2兆ドル)、構成割合(日本、先進国、新興国)は日本と先進国が低下し、その分新興国が増加していることが確認できます。
先進国の中でも、米国は64.7%→64.2%へと、今回はシェアが低下していることがわかります。
ちなみに、銘柄数は全体で2,760銘柄から2,687銘柄へと、前回と比較して73銘柄減少(日本 -5、先進国 -15、新興国 -53)と、最近は減少傾向が続いています。インデックスとしては時価総額全体の約85%をカバーしていますので、銘柄数が減少したということは、それだけ時価総額の大きい銘柄のシェアが増加したということになるかと思います。
とは言え、合計2,687銘柄となっており、分散投資という観点ではこれだけ幅広く投資できれば十分ですね!
今なら1本の投資信託で、このように約2,700銘柄に手軽に分散して投資することが可能です(投資信託によっては約9,000銘柄のものも)。
毎回書いてますが、本当にいい時代になりました!
MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)の構成銘柄トップ10
日本、先進国、新興国をすべて合わせたMSCI ACWI(オールカントリーワールドインデックス)の構成銘柄上位10銘柄を確認していきます。
まず前回3ヶ月前は以下の通りです。

そして、今回の2024年9月末は次のようになっています。

3ヶ月前と比べると、以下のようなことがわかります。
- APPLEが1位になりつつ、2位MICROSOFTとの差がかなり開いている
- 銘柄的にはLILLY(ELI)&COMPANYが消え、変わりにTESLAが戻っている
- 上位10社の時価総額(Float Adj Mkt Cap)合計は300兆円近く減少したが、それでも約2,359兆円!
- 上位10社の占める割合は22.28%から21.09%へと減少
いずれにしても、こういったマーケットの変化を読むことは難しいので、資産形成ならとにかく幅広く分散投資しつつ、保有を継続するのが基本だと考えています。
2018年4月以降の上位10社シェアの推移は次のようになります。

上位10社の占める割合が21.09%と前回の過去最高からは低下したものの、高水準を維持しています。
2,687銘柄ある中、たった10社で2割強です!
2024年9月末までのMSCI浮動株基準時価総額の推移
2018年3月末以降について、日本、先進国(日本を除く)、新興国の構成割合の推移を四半期ごとに確認すると次のグラフのようになっています。

2018年3月時点で8%のシェアを占めていた日本の時価総額は、5.0%まで低下してきたことになります。
基本は時価総額の変動に任せて時価総額ベースで保有していればよいと思いますが、この記事を読まれている方でお仕事をされている方は、ほとんどの方が日本でお仕事をされ、日本円を稼いでいるかと思います。
そういった方は、以下の記事で紹介したような考え方で、保有されている金融資産はあえて日本以外を少し多めに、というのも一つの考え方になります(ちなみに、「日本人だから日本株式だけに投資する」というのはオススメ致しません!)。
日本経済の成長が期待しづらい中、自分の時間を使って働く収入も(各個人で事情は異なると思いますが、一般論で言えば)増加が見込みづらいかと思いますので、せめて自分のお金には海外で働いてもらうことで全世界並みの成長を享受していきたいところです。
また、最近の円安、インフレという面からも、日本円だけの資産を保有しているというのは、購買力を維持、向上させていくという観点からは、おすすめできません!
そして、この観点からは「為替ヘッジなし」が基本になります!(「為替ヘッジあり」の投資信託を購入する必要はありません!)
詳しくは以下の動画をご覧いただければと思います。
次に、2018年3月末以降について、時価総額の絶対額をグラフにすると次のようになります。

米ドル建てだと3月末の約74兆ドルから約78兆ドルへと6.1%増加していますが、青の折れ線グラフで示している円建てで見ると約11,862兆円から約11,189兆円へと、5.7%減少しています。
一喜一憂せず、長期的にゆったりどっしり資産形成していきましょう!
フツーの人にとってのリスク資産は全世界株式インデックスファンド1本でOK!
「アセットアロケーションに正解はない」と言われることもありますが、資産形成ハンドブックではリスク資産(リスクをとって高めのリターンを期待して保有する資産)については
全世界の株式を時価総額ベースで保有する
というのが基本的な考え方になると考えています。
もっと高いリターンを!と追求し始めるとキリが無くなります。また、そのための時間やお金といった負担が大きくなってしまいます。
資産形成に手間をかけたくないフツーの人なら、
全世界株式を対象とした時価総額ベースの低コストインデックスファンド一本でよい
と思います。
個人個人で取れるリスク量が異なると思いますが、そのあたりは、
安全資産(預貯金などの元本保証商品)とリスク資産(主に株式を対象とした投資信託)の配分比率で調整すればよい
と考えています。なお、この考え方はトービンの分離定理と言われるものです。
ご参考としていただけましたら幸いです。