「老後2000万円」問題が注目される今日この頃ですが、老後の基本的な生活費については突然贅沢を始めたりしない限りは、ある日突然金額が大きく変わることはありません。つまり、不透明でリスクになるという性質のものではないと言えます。
一方、高齢になって費用が心配になってくるのが、医療や介護です。これらはいつ、どのくらいかかってくるか予測できませんし、人によってかかる人もいれば、ほとんどかからない、という方もいらっしゃいます。
そこで本日は、2019年4月15日に発表された、損害保険ジャパン日本興亜株式会社による「介護費用に関するアンケート」の調査結果を参考に、介護費用の実態について確認していきたいと思います。
なお、介護費用については、以下の記事でも取り上げていますが、そちらでは生命保険文化センターによる調査結果となっています。
https://shisankeisei.jp/prepare-for-risk/prepare-for-care/
(注)生命保険文化センターの調査では、調査時点において介護を継続して行っている人も調査の対象となっているのに対し、今回の損害保険ジャパン日本興亜株式会社による調査では、調査時点において介護を終了している人のみを対象にしている、という違いがあります。
では、早速、損害保険ジャパン日本興亜株式会社による「介護費用に関するアンケート」の調査結果を見ていきましょう。
<アンケート概要>
調査期間 :2018 年 12 月 11 日~12 月 15 日
調査方法 :インターネット(PC、携帯電話モバイルサイト)
調査対象地域 :全国
集計対象 :20~69 歳の男女
過去 3 年以内に親・配偶者いずれかの介護経験があり、かつ現在は介護を終了している人
有効回答数 :1,539 名※全 110,000 名の回答者中、介護経験がある 16.9%のうち、「集計対象」に合致する回答者に
対し、追加調査を実施したもの。
〔性別内訳〕 男性:837 名、女性:702 名
〔地域別内訳〕北海道・東北:191 名、関東(一都三県以外):67 名、関東(一都三県)468 名、北陸・信越:85 名、東海:178 名、近畿:303 名、中国・四国:126 名、九州 123 名
介護期間の平均は約3年7ヶ月(43.1ヶ月)、介護費用総額の平均は787万円!
介護期間の平均は約3年7ヶ月、介護費用総額の平均は約787万円となっています。
費用の内訳は、初期費用が98.1万円、開始してからの月額費用が12.7万円となっています。
約45%の方は「働き方に変化」があり、介護費用総額も約2倍に
介護が始まって、働き方に変化があったと答えた人は半分弱の約45%となっています。
また、介護費用総額の平均では、働き方に変化があったという人の方が2倍近くの1034万円という結果になっており、働き方に変化あったということで、収入減を伴っているとすると、経済的な負担はさらに大きくなっていることが予想されますね。
入居型施設を利用した方の介護費用総額は約1164万円と、在宅と比較して2倍近くに!
入居型施設利用、同居介護(在宅)、別居介護(在宅)の違いでは、入居型施設利用の場合が最も介護期間が長く、また介護費用総額の平均も最も高くなっていることがわかります。
介護にかかる初期費用の最高額は住宅改修の約132万円
介護にかかる初期費用(介護を始める際に負担した費用)は、住宅改修が最も高く約132万円、続いて入居型介護施設の一時金約67万円、医療費約50万円となっています。
ちなみに、一般的に、高齢者向けのリフォームは、
- バリアフリー(段差をなくす、手すり設置、スロープ設置など)
- 耐震
- 断熱(ヒートショック予防、生活空間の断熱補強など)
が重要と言われていますが、リフォーム融資などもあるので、必要に応じて検討していくことが大切ですね。
介護にかかる月額費用の最高額は、入居型介護施設の利用料約20万円!
介護にかかる月額費用(初期費用以外に毎月負担した費用)は、入居型介護施設の利用料が約20万円で最も高くなっています。
逆に言えば、入居型介護施設に入居しなければ、それほど月額費用はかからないのかもしれません。
介護にともない働き方を変えた人は、労働形態の変更もしくは退職
介護にともない働き方を変えた人は、「時短勤務など労働形態変更した」が最多で、続いて「退職した」となっています。
退職してしまうと、介護が終わってから復帰しようとしても、なかなか仕事が見つからないといった可能性もありますので、そのあたりは慎重に検討していく必要があるかと思います。
最後に
今回は、損害保険ジャパン日本興亜株式会社の調査結果をもとに、介護費用の実態を確認してみました。
漠然とした不安に対して、不安だ!不安だ!と騒ぐのではなく、自分ゴトとして具体的な数字を確認するとともに、どのような方法で準備していくことができるのか、具体的に検討していくことが重要かと思います(資産の金額を確認する、今後のライフプランシミュレーションをやってみる、など)。
医療保険同様、介護保険についても社会保険の1つである公的介護保険がありますので、一般的な方であれば、自己負担額が驚くほど高額になるといった可能性は低いのではないかと思います。
適切な情報収集と、正しく理解していくことが重要です。