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株式会社ウェルスペントのファイナンシャルプランナー、横田健一です。

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人生100年時代という言葉がすっかり定着してきた感がありますが、一方で、文字通り生きているだけではなく、いかに健康な状態で生きていられるか、つまり健康寿命(日常生活に制限のない期間の平均)への意識が高まってきていると思います。

 

今回は健康寿命とはそもそも何なのか、またそれに近い別の指標はあるのか、そして日常生活に制限がある状態とはどのような状態なのか、といったことについてご説明していきます。

 

なお、以下ではすべて2016年のデータでご説明しています。

 

平均寿命とは?平均余命とは?健康寿命とは?

まず基本的な言葉の整理ですが、平均寿命0歳の赤ちゃんが今後平均何年間生きるかを示しているものです。病気などで幼い時に命を落とされてしまう方もいらっしゃいますし、100歳以上と長寿の方もいらっしゃると思いますが、そのすべての方の平均といった意味です。

2016年時点での平均寿命は、

男性 80.98歳、女性:87.14歳

となっています。

 

一方、特定年齢まで生きている方がその時点から今後何年くらい生きていくかという指標平均余命です。例えば、60歳男性なら23.67年、60歳女性なら28.91年(2016年)といった具合です。

このように考えると、平均寿命というのは、0歳の方の平均余命ということになります。

 

では、健康寿命とは何でしょうか。現在、次のように定義されています。

「日常生活に制限のない期間の平均」(及び「自分が健康であると自覚している期間の平均」)

 

「健康寿命のあり方に関する有識者研究会」の報告書(2019年3月) より

 

つまり、健康寿命を迎えると、日常生活に何らかの制限がかかってきたり、ご自身で健康ではないと自覚し始めるということになります。

2016年時点の健康寿命は、

男性72.14歳、女性74.79歳

となっています。

 

この健康寿命を迎えた方はその後何年くらい「健康でない」期間を過ごしていくことになるのでしょうか?

単純に平均寿命から計算すると

男性は8.84年(= 平均寿命 80.98 ー 健康寿命 72.14)、女性は12.35年(= 87.14 ー 74.79)

となります。

 

ただ、この健康寿命を迎えた方はすでに70歳以上生きていらっしゃる方ですから、その後どのくらいの人生が残されているかは平均余命で考えるべきかと思います。

つまり、70歳の方の平均余命は男性が15.72年、女性が19.98年(平成28年 簡易生命表より)ですから、健康寿命を迎えた方がその後「健康でない」期間を過ごされるのは

男性13.58年(= 70+15.72 - 72.14)、女性15.19年(= 70+19.98 ー 74.79)

ということになります。

 

ここまでの関係について図にまとめると次のようになります(図の下部は 「健康寿命のあり方に関する有識者研究会」の報告書(2019年3月) より)。なお、参考として80歳の方の平均余命ベースの数字(平成28年 簡易生命表より)も掲載しています。

 

厚生労働省「健康寿命のあり方に関する有識者研究会」の報告書(2019年3月)および 平成28年簡易生命表 より

 

70歳の方の平均余命をベースにすると、「健康でない」期間は男性13.58年、女性15.19年となるわけですが、これはかなり長いという印象をお持ちになるかもしれません。

健康寿命を迎えたからといって、急に寝たきりになるというわけではありません。これまでの日常生活が少しずつしづらくなり、まわりの方のサポートの必要性が徐々に高まっていくというイメージかと思います。

 

ということで、現在の健康寿命を補完する指標として「日常生活動作が自立している期間の平均」という考え方もあります。これは上図の一番下青い矢印の部分です。

これは、介護保険のデータを使って「要介護2以上」の方を不健康として定義しているものです。この定義によると「日常生活動作が自立している期間の平均」は

男性が79.47年、女性が83.84年

となりますので、70歳からの平均余命ベースで計算すると、不健康な状態で生活される期間は

男性 6.25年(=85.72-79.47)、女性 6.14年(=89.98-83.84)

となります。

 

さらに80歳からの平均余命ベースで計算すると、不健康な状態で生活される期間は

男性 9.45年(=88.92-79.47)、女性 7.98年(=91.82-83.84)

となります。

 

このくらいの数字の方がイメージに近いかもしれません。

単純に健康寿命の数字をもとに考えてしまうと、不健康な期間が非常に長いという印象になってしまうかもしれませんね。

 

ここで「要介護2」という言葉が出てきましたが、この要介護2はどのような状態なのか、確認してみましょう。

 

要支援・要介護の状態区分とは?

ここでは埼玉県戸田市のホームページに掲載されている要支援・要介護の状態区分で確認してみます。自治体によって細かい違いはあるかもしれませんが、大きな違いはないかと思います。

 

介護度状態像
要支援1
社会的に支援が必要な状態
排泄や食事は自力で行うことができる。
立ち上がりや歩行などに支えを必要とする。
要支援2社会的に支援が必要な状態
排泄や食事は自力で行うことができる。
立ち上がりや歩行などに支えを必要とする。
要介護1
部分的に介護を要する状態
立ち上がりや歩行が不安定で一部介助が必要。
排泄や入浴に一部介助が必要。
問題行動や理解の低下が見られることがある。
要介護2
軽度の介護を要する状態
立ち上がりや歩行が自力ではできない場合がある。
排泄や入浴などに一部または全介助が必要。問題行動や理解の低下が見られることがある。
要介護3
中等度の介護を要する状態
立ち上がりや歩行が自力ではできない。
排泄、入浴、衣服の着脱などに全介助が必要。
問題行動や理解の低下がいくつか見られることがある。
要介護4
重度の介護を要する状態
排泄、入浴、衣服の着脱など日常生活の殆どに介助を必要とする。
多くの問題行動や理解の低下が見られることがある。
要介護5最重度の介護を要する状態
排泄、衣服の着脱、食事など生活全般に介助を必要とする。
多くの問題行動や理解の低下が見られることがある。
非該当
支援や介護が必要であるとは認められない

埼玉県戸田市のホームページ「介護度別の状態像及び利用可能なサービス」より

 

ご覧いただいて分かる通り、要支援1・2、要介護1~5と全部で7段階に分かれています。イメージとしては要介護5はほぼ寝たきりで、排泄、衣服の着脱、食事など生活全般のすべてに介助が必要な状態です。

 

上で出てきた補完的指標「日常生活動作が自立している期間の平均」に出てきた要介護2について確認してみると、次のようになっています。

要介護2

軽度の介護を要する状態
立ち上がりや歩行が自力ではできない場合がある。
排泄や入浴などに一部または全介助が必要。問題行動や理解の低下が見られることがある。

 

そして、要介護2の一歩手前、要介護1は次のようになっています。

要介護1

部分的に介護を要する状態
立ち上がりや歩行が不安定で一部介助が必要。
排泄や入浴に一部介助が必要。
問題行動や理解の低下が見られることがある。

 

なかなか具体的に想像するのは難しいかもしれませんが、一定の介助の下、不健康ととまではいかないレベルで生活できているといったイメージでしょうか(あまり説明になっていませんが、、、)。

 

ご両親様の介護期間がどのくらいになるのか、ご自身や配偶者の介護期間がどのくらいになるのか、こればかりは実際にどうなるかわかりません。

ただ、一般的な平均としては今回ご説明したような期間になっているようです。

 

要介護の程度やその期間によって必要となるお金も変わってきますが、公的介護保険制度についてもしっかり理解を深めて、必要以上に不安になったりしないようにしていただければと思います。

 

よろしければ以下の記事も併せてご覧頂ければと思います。

「介護」に備える

介護費用総額の平均は約787万円!平均介護期間は約3年7ヶ月!~損害保険ジャパン日本興亜株式会社の調査より~

 

 


皆様の資産形成の一助となれば幸いです。

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