「死亡保険に加入する必要があるのはどんな人?」ということで、基本的な考え方をご説明しましたが、その中で、配偶者が死亡した場合に、「残された配偶者が仕事を継続する」、もしくは「働いていなかった人は働き始める」という選択肢を取れるかどうかで、死亡保険の必要保障額も大きく変わってくるとご説明しました。
そこで、今回は、配偶者が死亡して遺族年金(公的年金です!)を受け取っている世帯の生活が実際にどのようになっているか、厚生労働省「年金制度基礎調査(遺族年金受給者実態調査)」(平成27年)の結果を見ながら、確認していきます。
遺族年金を受給しているのは約504万人で、98%超が女性!
まず遺族年金を受給している人ですが、平成27年12月1日時点で約504万人で、そのうち98.4%が女性となっています。
そして、亡くなった方との続柄を見ると妻が97.8%となっており、ほとんどの場合で旦那さんが亡くなっていることがわかります。
さらに遺族年金を受け取っている方の年齢構成を見てみると、60歳以上の方で95%近くが占められており、30代以下では0.3%、40代で1.3%、50代で3.8%となっています。
55歳未満の方の就業率は約8割!
遺族年金を受け取られている方で仕事をされている方は、このグラフの通り、年齢が上がるについれ少なくなっていますが、55歳未満では約8割の方は何らかのお仕事をされているようです。
就業している方の半分は臨時・パートで、常勤は15%強
仕事をされている方の50.5%は「臨時・パート等」で、「常勤」の方は15.6%、「自営」の方が14.4%となっています。
なかなか常勤の仕事につくのは難しいようです。
働いている方の労働収入は、8割近くの方が200万円以下
働いている方の労働による収入(遺族年金を含まず)を見てみると、年間100万円未満の方が51.6%、100~200万円の方が26.9%となっており、8割近くの方が200万円以下になっていることがわかります。
働いていない理由の第一位は「働くことができない(育児・病気・高齢等のため)」
一方、働いていない方に、働いていない理由を確認すると、「働くことができない(育児・病気・高齢等のため)」が75.3%となっており、「働きたいが、働く場がない」は5.4%、「特に働く必要がない」は8.7%となっています。
年齢別に見ていくと、「働くことができない(育児・病気・高齢等のため)」を選んだ方は75歳以上で81.3%と突出しており、これは「病気・高齢のため」ということでしょう。
一方、64歳以下では、「働くことができない(育児・病気・高齢等のため)」を選んだ方は5割を切っており、そのかわり、「働きたいが、働く場がない」の数字で11.6~21.5%と高めになっています。
本人に働く気があっても、育児などの関係でフルタイムでは働けないとか、シングルマザーだと採用されづらいとか、そういった事情があるのかもしれません。
配偶者の死亡に伴い転職もしくは辞職した人は約36%
こちらは配偶者の死亡に伴って、遺族年金を受け取られている方の仕事に変化があったかどうかを示しています。
まず配偶者の死亡前に仕事をされていた方は37.4%で、仕事をされていなかった方は62.6%です。
仕事をされていた方のうち、配偶者の死亡に伴い辞職された方は22.7%(=8.5/37.4)、転職された方は13.9%(=5.2/37.4)となっており、辞職された方と転職された方を合わせると約36%となっています。
一方、仕事をされていなかった方で就職された方は5.4%(=3.4/62.6)ですが、年齢別に見ていくと34歳以下では78.9%(=36.4/46.1)、35歳から44歳では58.4%(=19.1/32.7)と、45歳から54歳では26.0%(=7.3/28.0)と、現役世代では仕事を始める方の割合が高くなっています。
世帯の収入総額は「100~200万円」が37.3%と最多で、中央値は193万円
世帯の年間の収入総額を見てみると、「100~200万円」が37.3%と最多で、「200~300万円」が20.5%、「300~500万円」が11.9%と続いています。
また、中央値は193万円となっていますので、大半の方が200万円前後になっているようです。
世帯の1ヶ月あたりの支出総額は半分近くが「10~20万円」
最後に、世帯の1ヶ月あたりの支出ですが、「10~20万円」が46.7%となっており、中央値は16.8万円。中央値を12倍すると201.6万円となりますので、収支はほぼトントンという家計が多いようです。
最後に
遺族年金を受け取っている方の生活実態がある程度イメージできましたでしょうか?
配偶者の方が亡くなられた場合、残された配偶者の方が収入的に満足できる仕事を見つけるというのは難しそうな印象ですね。
片働き世帯の方は、必要に応じて死亡保険(もしくは収入保障保険)に加入された方がよさそうですね。ただし、入り過ぎには注意して下さい。公助(社会保険)・共助(職場の福利厚生)を確認した上で、あくまで適切な金額で。
なお、本記事は、厚生労働省「年金制度基礎調査(遺族年金受給者実態調査)」(平成27年) を参考に作成しています。さらなる詳細については、直接リンク先の結果詳細をご覧頂ければと思います。