つみたてNISAの対象商品を確認すると、同じインデックスに連動する投資信託であっても、信託報酬が低いものもあれば高いものもあることがわかりました。
今回は、投資信託の保有コストが異なることで、どの程度運用に影響があるのか確認してみます。
投資信託の保有コスト
投資信託の保有している間は、次のようなコストがかかります。
- 運用管理費用(信託報酬)
- 監査報酬
- 売買委託手数料
詳しくは、次の記事をご覧下さい。
https://shisankeisei.jp/investment-for-building-wealth/basics-investment-trust/
今回の検証では、上記のコスト合計をまとめて「保有コスト」と呼ぶことにします。
そして、保有コストが、年率0.2%、0.5%、1.0%、2.0%の4パターンでその効果を確認してみます。
スポット投資 10年
最初に投資資金を一括で投資するスポット投資で10年間保有した場合、保有コストの違いによってどのくらい変わるかを示しているのが次のグラフです。
もちろん実際には株式や債券など投資対象資産のリターンがあるわけですが、ここではリターンがゼロで、保有コストのみが発生した場合にどのようになるかを見ています(以下、すべて同じ)。
保有コストが0.2%だと、当初100万円投資したものが、10年後には98万円まで減っています。
一方、保有コストが2%の場合、10年後には81.7万円とコストだけで2割近く減ってしまうことがわかります。
スポット投資 40年
次に、保有期間を40年と長くした場合です。
保有コストが0.2%の場合は92.3万円と、9割以上を維持しています。
一方で、保有コストが2%だと、44.6万円と半分以下まで下がってしまいます!
積立投資 10年
次に、毎月100円ずつを積立で10年間投資した場合にどうなるか確認します。
積立総額は、100円✕12ヵ月✕10年=12000円となります。
保有コストが0.2%の場合は、10年後には11882円と積立総額12000円に対して99%となっています。
一方、保有コストが2%の場合は、10884円と積立総額12000円に対して90.7%と1割近くがコストでなくなってしまうことがわかります。
積立投資 40年
さらに期間を長くして、積立投資を40年間行った場合の結果です。
この場合、積立総額は100円✕12ヵ月✕40年=48000円となります。
保有コストが0.2%の場合は、46134円と積立総額48000円に対して96.7%までしか下がりません。
一方、保有コストが2%の場合は、33058円と積立総額48000円に対して68.9%まで、3割以上がコストで目減りしてしまうことになります。
最後に
簡単な検証ですが、投資信託の保有コストが0.2%から2%で、投資家として享受できるリターンにどのくらい影響があるか確認しました。
0.2%とか、2%とか、数字だけ聞くと、それほど大きな差はないような印象を受ける方もいらっしゃるかもしれませんが、長期で運用していくとその差はかなり大きくなることをご理解頂けたのではないでしょうか。
もちろん投資信託の最終的な運用利回りとしては、保有コストのみではなく、投資対象のリターンが乗っかってくるので、コストを上回るリターンにより最終的な運用利回りはプラスになることを期待して購入しているはずです。
しかし、インデックスファンドのように、特定のインデックスに連動する投資信託の場合には、保有コストの差はそのまま運用利回りに影響してきますので、できるだけ低コストの商品を選ぶことが大切になってきます。
今回は投資信託として説明していますが、ファンドラップやロボアドバイザー投資などにもこの考え方はそのまま適用できますので、商品を選ぶ場合には保有コストを必ず確認するようにしましょう。