世界の株式に幅広く投資する方法として、これまで3回にわたって、つみたてNISAの対象商品から具体的に商品を選ぶ方法についてご説明してきました。
最終回となる今回は、すでに利用している金融機関がある場合に、どのように商品を選んでいくか確認してみたいと思います。
三菱UFJ銀行のつみたてNISA取扱商品
つみたてNISAをやってみたいけど、わざわざ証券会社の口座を開設するのは敷居が高いという方もいらっしゃるかと思います。
そこで、メガバンクの1つ、三菱UFJ銀行を例にとって、つみたてNISAの取扱い商品を確認してみます。
つみたてNISA専用商品(ファンドラインアップ)(三菱UFJ銀行ホームページ)
まず、つみたてNISA専用商品(ファンドラインアップ)のページにいくと、以下のような説明があり、取扱い本数は全部で12本であることがわかります。
2018年4月23日時点で、つみたてNISAの対象商品は145本ですので、12本というのはその10分の1弱くらいということになります。
日本株式
まずはインデックスファンドの中でも、日本の株式を対象にしたファンドです。
上の画像でも、赤線で囲っていますが、それぞれ、日経平均、TOPIX、JPX日経400インデックスといったインデックスに連動するインデックスファンドです。
- つみたて日本株式(日経平均)(運用会社:三菱UFJ国際投信)
- つみたて日本株式(TOPIX)(運用会社:三菱UFJ国際投信)
- iFree JPX日経400インデックス(運用会社:大和投資信託)
幅広く分散できるという意味では、約2000銘柄に分散投資できるTOPIXに連動するインデックスファンドがオススメとご説明しましたので、日本株式については2番目の「つみたて日本株式(TOPIX)」がよいでしょう。
海外株式
次に海外株式を対象にしたインデックスファンドです。
こちらはファンドの名称だけではすぐにわからないかもしれませんが、上の画像でも赤線で囲っている通り、それぞれ、MSCI コクサイ・インデックス、MSCI エマージング・マーケット・インデックス、S&P500というインデックスに連動するファンドであることがわかります。
- つみたて先進国株式(運用会社:三菱UFJ国際投信) → MSCI コクサイ・インデックス
- つみたて新興国株式(運用会社:三菱UFJ国際投信) → MSCI エマージング・マーケット・インデックス
- iFree S&P500インデックス(運用会社:大和投資信託) → S&P500
世界の株式に幅広く投資するためには、最初の2つ、「つみたて先進国株式」、「つみたて新興国株式」を選べばよいでしょう。
もちろん「米国に重点的に投資したい」といった場合は3番目の「iFree S&P500インデックス」を利用することになります。
世界の株式に幅広く投資するためにファンドを組み合わせる
日本株式、先進国株式、新興国株式のそれぞれを対象としたインデックスファンドが見つかりましたので、この3本を組み合わせることで、世界の株式に幅広く投資することができます。
以下の記事で、世界の株式に幅広く投資する方法をいくつかご説明しましたが、日本、日本を除く先進国、新興国と3本のファンドを使うのは、パターン3の方法でした。
具体的には、以下のMSCIのデータを参考にすると、日本、日本を除く先進国、新興国の時価総額は、
日本、日本を除く先進国、新興国 = 8 : 80 : 12
でした。
つみたてNISAは、年間40万円、月額33,333円がつみたて金額の上限ですので、できるだけ、忠実にということであれば、この割合で積み立てることになります。
日本、日本を除く先進国、新興国 = 8 : 80 : 12 の場合の毎月積立額
「つみたて日本株式(TOPIX)」 = 33,333円 ✕ 0.08 = 2,666円
「つみたて先進国株式」 = 33,333円 ✕ 0.80 = 26,666円
「つみたて新興国株式」 = 33,333円 ✕ 0.12 = 3,999円
単純に計算すると、毎月積み立ての場合の積立額は上記の通りですが、これだと33,331円と2円ほど余りますので、2円分も、もれなくいずれかのファンドに割りあてておくのがよいでしょう。
また、もう少しざっくりで、
日本、日本を除く先進国、新興国 = 1 : 8 : 1
でいいかな、という方は、
日本、日本を除く先進国、新興国 = 1 : 8 : 1 の場合の毎月積立額
「つみたて日本株式(TOPIX)」 = 33,333円 ✕ 0.1 = 3,333円
「つみたて先進国株式」 = 33,333円 ✕ 0.8 = 26,666円
「つみたて新興国株式」 = 33,333円 ✕ 0.1 = 3,333円
となります。
こちらも合計が33,332円と1円ほどあまりますので、いずれかのファンドに1円分を割りあてておくのがよいでしょう。
ということで、つみたてNISAを活用して、世界の株式に幅広く投資するためには、このように積立設定をすることになります。
なお、この方法では、各国への配分は浮動株基準時価総額に基づいたものになります。
等配分するイコールウェイトや、GDP比で割り当てたり、いろいろな考え方もあるのですが、資産形成ハンドブックでは基本的に時価総額に基づいた配分がよいと考えています。
この理由については、改めて別の機会にご説明致します。
世界の株式に幅広く投資するには、上記の3本を使えばよいのですが、三菱UFJ銀行の取扱い商品は他にもありますので、いちおう見ておきます。
バランス型
バランス型と呼ばれる、以下の8つのアセットクラスの中から、4つ、6つ、8つを選んで等配分するタイプのファンドです。
- 国内株式
- 先進国株式
- 新興国株式
- 国内債券
- 先進国債券
- 新興国債券
- 国内リート
- 先進国リート
アクティブファンド
最後に、アクティブファンドです。
アクティブファンドは、インデックスファンドとは異なり、ファンドマネージャーを中心とした運用チームが、投資対象について調査・分析を行いながら、売買タイミングなども含めて総合的に判断しながら運用していくタイプのファンドです。
内外株式、国内株式、海外株式ということで3本の取扱いがあるようです。
最後に
今回は、三菱UFJ銀行を例に取り上げましたが、すでに口座をお持ちの金融機関でつみたてNISAの取扱いがある場合には、同じように取扱商品を確認してみて頂ければと思います。
資産形成としての投資としては「世界の株式に幅広く投資する」が基本になりますので、参考にして頂ければと思います。
なお、三菱UFJ銀行のページでは「つみたてNISA専用商品(ファンドラインアップ)」という言葉がありますが、この「専用」というのがクセモノですね。
逆に言うと、つみたてNISAの上限金額(年間40万円)を超えて積立投資をやりたいと思った場合に、つみたてNISA専用商品と同じように手数料の安い商品を取り扱っていない可能性もあります。
その場合は、手数料の安い商品ラインナップが充実している別の口座を開設した方がよい、という結論になるかと思います。