現在の高齢者(ここでは60歳以上の方)の方は、働く意欲はあっても、実際には仕事をするどころか、「特に活動はしていない」方が7割程度にのぼり、退職後はテレビを見る時間が大幅に増えているという調査結果を確認しました。
そして、定年後、一人暮らしだったり、仕事をされていない方は生き甲斐を感じにくいようだということもわかりました。
では、定年退職後は、どのように生きていくと、生き甲斐を感じ、幸せな人生となるのでしょうか。
残された時間をどのように使うとウェルスペント(well spent)できるのでしょうか。
岡本和久さんの「六つの「ふ(富)」」という考え方をご紹介させて頂きます。
岡本和久さんは、4月に開催された金融庁主催の「つみたてNISAフェスティバル2018」で基調講話をされた方です。プロフィールは、こちらをご覧ください。
<六つの「ふ(富)」>
以下は、岡本和久さんのブログ「しあわせの六角形」と仕事(岡本和久のI-OWA日記)からの引用です。
人生の目的は「お金持ち」になることではなく、「しあわせ持ち」になることです。
人生の目的は「お金」を持つことではなく、幸せになることとおっしゃっています。
その上で、「しあわせ持ち」になるためには、「六つの富」をバランスよく持つのがよいのではないか、ということです。
「六つの富」は次のようなものです。
<六つの「ふ(富)」>
ファイナンシャル・アセット:金融資産。おカネがすべてではないけど、みじめな生活をしていると心に余裕がなくなります。やはり、少しは金銭的なゆとりも、あった方がいいですね。
フィットネス:健康。当然ですね。体がボロボロでは、いくらおカネがあっても楽しめません。
ファミリー:家族。配偶者や子供や親など。その存在に支えられたり、そのために頑張れることが多いはずです。
フレンド:交友関係。気の置けない友達、飲み友達、会社の同僚など。これから知り合う人たちも含め、意識して良い人間関係を築いていきたいものです。
ファン:楽しみ。自分がやっていて楽しいと感じられること。人生に、彩りを与えてくれるものですね。
フィランソロピー:社会貢献。自分のできる範囲で、他者を喜ばすことのために活動をしたいものです。おカネでも、時間や労力でも結構です。せめて「一日一善」、ぜひ、心がけましょう。
これらの6つの「フ」はすべて時間をかけて、形成、充実させていくものです。その意味では、すべて投資なのです。資産形成はもちろん大切ですが、それだけではなく、若いうちからこれらの「フ」を充実させるための投資もしっかりと行いましょう。
お金ももちろん大切なのですが、他にも、健康、家族、交友関係、楽しみ、社会貢献といったものを持つことが大切だということです。
「お金」以外の「ふ(富)」については、必ずしもお金をかけなくても、充実させることができるのではないでしょうか。
例えば、60歳から90歳まで、1日あたり12時間ほど自由に使える時間があったとすると、
12時間/日 ✕ 365.25日/年 ✕ 30年 = 131,490時間
ほどの自由な時間があることになります。
健康寿命を考えれば、健康で自由に使える時間はこの半分とか3分の2くらいかもしれませんが、それでも7万時間くらいはあることになります。
仮に、お金はそれほどなかったとして、時間は誰にとっても平等にあります。
その時間を使って、六つの「ふ(富)」をどのように充実させていくか考え、実行していくと、生き甲斐のある幸せな人生に、より近づいていくのではないでしょうか。
幸せとは何か?などと、哲学的だったり、難しい話にするつもりはありませんが、定年退職後、現役引退後のたっぷりある時間をどのように使うかについて、六つの「ふ(富)」というフレームワークで考えてみると、頭が整理できるのではないかと思います。
定年後の人生を考えるにあたり、考え方の1つとして参考になると思い、ご紹介させて頂きました。
現役引退してしまう前に、引退に向けた、お金だけではなく人生設計としてのリタイアメントプランを考えておくことをオススメします。