
「住まいも、仕事も、未来も、一体どうなってしまうんだろう——。災害という大きな困難に直面したとき、そんな不安に押しつぶされそうになってはいませんか?」
一歩踏み出そうと思っても、何から手をつければいいのか分からず、立ち止まってしまうのは決してあなただけではありません。生活を再建するための道のりは決して一人きりではなく、国や地方自治体には、あなたが再び自立するための「セーフティネット」が数多く用意されています。
この記事では、被災された個人の方が利用できる主な支援制度を、5つのカテゴリーに分けて分かりやすく解説します。
なお、本記事は 内閣府「被災者支援に関する各種制度の概要」(令和7年6月1日現在) を参考に作成しています(出所 内閣府 防災情報のページ > 被災者支援)。
支援を受けるための「鍵」:罹災証明書
まず知っておくべき重要な点は、ほとんどの支援制度において、市町村が発行する「罹災(りさい)証明書」が必要になるということです 。これは住まいの被害程度を証明する唯一の公的書類であり、支援の入り口となります 。
1. 経済的支援:給付金と貸付金
まず生活を立て直すための直接的な金銭的サポートとしては次のようなものがあります。
- 災害弔慰金・災害障害見舞金(給付) 家族を亡くされた遺族には「災害弔慰金」(生計維持者の死亡で最大500万円)、重度の障害を負った方には「災害障害見舞金」(生計維持者で最大250万円)が支給されます 。
- 被災者生活再建支援制度(給付) 住宅が全壊するなど大きな被害を受けた世帯に対し、最大300万円(単身世帯は3/4)の支援金が支給されます 。使途の制限はなく、自由に再建費用に充てられます 。
- 災害援護資金(貸付) 負傷や住居・家財の損害を受けた世帯主に対し、最大350万円を貸し付けます 。所得制限がありますが、据置期間(最大3~5年)は無利子です 。
- 生活福祉資金制度による貸付 低所得・障害者・高齢者世帯を対象に、当座の生活費(緊急小口資金:10万円以内)や福祉費(災害援護費:目安150万円)の貸付が行われます 。
- 生活保護・生活困窮者自立支援 あらゆる資産を活用しても生活が困難な場合、最低限度の生活保障や、住居確保給付金の支給などを受けられます 。
2. 住まいの確保・再建支援
住居に関しては、壊れた自宅の修理から、新たな住居の確保まで次のようなものがあります。
- 住宅の応急修理 半壊以上の被害を受け、自力修理が困難な場合、居室やトイレなど日常生活に不可欠な部分を自治体が修理します 。限度額は大規模半壊~半壊で約74万円、準半壊で約36万円が目安です。
- 緊急の修理と障害物の除去 ブルーシートの展張による雨漏り防止や、玄関・居室に流れ込んだ土砂・倒木の除去を自治体が支援します 。
- 公的住宅等への入居 公営住宅のほか、民間賃貸を活用した「セーフティネット登録住宅」等に優先的に入居できる場合があります 。
- 住宅再建の融資と債務整理 「災害復興住宅融資」による低利融資のほか、「被災者(個人・個人事業主)の債務整理支援」を利用すれば、破産手続によらずローンの免除・減額を申し出ることが可能です 。
3. 教育・子育て支援
さらに、お子様の学びを継続させるための手厚い制度も用意されています。
- 学用品等の無償給与・就学援助 教科書や文房具、通学用品の現物支給や、給食費・校外活動費などの援助が受けられます 。
- 授業料減免と奨学金 高校・大学等の授業料免除のほか、家計急変に応じた給付型奨学金があります 。日本学生支援機構(JASSO)からは10万円の「災害支援金」が支給される場合もあります 。
- 児童扶養手当等の特例措置 障害児福祉手当や児童扶養手当について、所得制限の特例措置が適用されます 。
4. 税金・公共料金の減免と猶予
支出を抑えることで、家計への負担が軽減される制度もあります。
- 税金の軽減・免除 所得税、住民税、固定資産税などの申告・納付期限の延長や、被害状況に応じた減免が認められます 。
- 社会保険料等の減免措置 医療保険や介護保険の保険料、医療機関の窓口負担、国民年金保険料の免除などが、申請により受けられる場合があります 。
- 公共料金等の特別措置・放送受信料の免除 電気、ガス、電話料金、NHK放送受信料(床上浸水以上など)の軽減・免除措置が実施されることがあります 。
5. 相談窓口
被災した場合には、一人で悩まず、積極的に専門的なアドバイスを求めていきましょう。
- 法的トラブル(法テラス):無料法律相談や弁護士費用の立替など 。
- こころのケア:精神保健福祉センターなどでの不安や悩みの相談 。
- 行政苦情110番:国の支援策や相談先の情報提供 。
- 見守り・生活支援:仮設住宅などでの相談員による見守り活動 。
おわりに
各制度には、災害救助法の適用の有無や所得制限などの細かな要件があります。また、多くの支援は「自己申請」が基本です。
少しでも不安を感じたら、まずはお住まいの市町村の担当窓口や、専門の相談機関へ早めに確認することをお勧めします。生活再建への第一歩は、こうした制度を正しく知ることから始まります。