「外貨投資」という言葉をよく見かけます。
試しに、グーグル検索してみたところ、約245,000件ほどの結果が出てきました。
「外貨投資」や「外貨に投資している」、また最近ではビットコインなどの「仮想通貨に投資している」などと、耳にしたり、目にすることもあるのですが、はたしてそれは「投資」と呼べるのでしょうか?
そもそも投資とは?
そもそも投資とは何でしょうか。
以前、投資と投機ということで、考えてみました。
その中で、最初に投資の意味を辞書で調べてみたところ、以下のような記載がありました。
とう‐し【投資】の意味
1 利益を得る目的で、事業・不動産・証券などに資金を投下すること。転じて、その将来を見込んで金銭や力をつぎ込むこと。「土地に投資する」「若いピアニストに投資する」
goo辞書:デジタル大辞泉(小学館)より引用
https://dictionary.goo.ne.jp/jn/155798/meaning/m0u/%E6%8A%95%E8%B3%87/
ここで重要なポイントは「利益を得る目的で」という部分だと思います。
投資した対象が何らかの利益を生み出す、つまり、付加価値を生み出しそれが投資家に還元される、ということが投資の投資たるゆえんではないでしょうか。
単純に、「市場で取引されている価格の変動の動きを見て買ったり売ったりする」ということではなく、投資対象である資産が何らかの付加価値を生み出していくと期待できることがポイントです。
日本円の現預金は日本人にとって投資なのか?
日本人が日本円の現金を保有している場合、日本人は投資していると考えているのでしょうか?
投資と考えている人はまずいらっしゃらないと思います。
では、日本人が日本円の預金をしている場合、日本人は投資していると考えているのでしょうか?
これについても、投資と考えている人はいらっしゃらないと思います。
米ドルの現預金はアメリカ人にとって投資なのか?
では、次にアメリカ人の例を考えてみます。
アメリカ人が、米ドルの現金や預金を保有している場合、投資しているという感覚を持っているのでしょうか。
アメリカ人からしたら、投資しているとは思っていないでしょう。
つまり、日本円の現金や預金、米ドルの現金や預金は、一般的に投資資産だとはみなされていないわけです。
では、日本人が米ドルの現金を持ったり、預金を持つことは投資なのでしょうか?
「為替変動リスクを取ることになるのだから立派な投資じゃないか!」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。預金であれば多少の預金金利は付きますが、現金の場合はまったく増えていきませんし、アメリカ人が投資対象とみなしていない資産(現金もしくは預金)なのですから、日本人が保有したところで投資にはならないのではないでしょうか。
どんな通貨建てであれ、何に資金を投じるかが重要
株式、債券、投資信託、不動産などへ資金を投じることは投資です。
ここで、それぞれについて、円建てなのか、米ドル建てなのか、シンガポールドル建てなのか、などと通貨については指定せずに、「投資だ」と言い切りました。
つまり、「外貨投資」という言葉は、投資を指しているようで、実はまったく投資を指していない言葉なのではないでしょうか。
- 外貨建ての株式への投資
- 外貨建ての債券への投資
- 外貨建ての投資信託への投資
などと言えば、それぞれ投資なんだとわかりますが、「外貨投資」というのは、投資対象を明確に示していない言葉なので、投資を意味する言葉としては不十分だと思います。
円建てであれ、外貨建てであれ、株式、債券、投資信託、不動産など、リターン(利益)を生み出してくれると期待できる資産を指定して、初めて投資と言えるわけです。
ビットコインなどの仮想通貨は?
このように考えてくると、ビットコインを始めとした仮想通貨へ資金を投じる(もしくは手元の日本円を仮想通貨へ交換する)という行為についても投資とは言えません。
具体的に、ビットコイン建ての株式、債券、投資信託、不動産などがあり、それを保有するのであれば投資と言えるかもしれませんが、ビットコインなどの仮想通貨と日本円の交換レートの変動だけを見ながら、買ったり、売ったり(日本円から仮想通貨へ交換したり、仮想通貨から日本円に交換したり)という行為は、投資ではなく、投機だと考えるのが自然でしょう。
「外貨投資」「ビットコイン投資」について、ご理解頂けましたでしょうか?