夫婦で認識がずれていることはしばしば?あることだと思いますが、特に家事や子育てについては、夫婦仲にも影響する重要事項なのではないでしょうか。
明治安田生活福祉研究所が行った調査によると、家事や子育てを夫はやっているつもりでも、妻はそれほど評価していない、という実態が明らかになっています。
今回は、2018年 25~44歳の子育てと仕事の両立(明治安田生活福祉研究所) を参考にさせて頂きます。
では、早速見ていきましょう。
調査の概要
(1)調査対象: 全国の25~44 歳の男女。
ただし、質問により対象の年齢層が異なる場合があります。(2)調査方法: WEB アンケート調査(株式会社マクロミル登録モニター対象)
(3)調査時期: 2018 年3月9日~3月12 日
(4)回収数: 12,221 人
(5)サンプルの属性
(6)サンプル数について
この調査では、上記の属性ごとに相当数のサンプルを収集して分析を行なうことを目的と
しています。そのため、当資料では人口比などによる補正は行なっておりません。
2018年 25~44歳の子育てと仕事の両立(明治安田生活福祉研究所)より引用
夫が担当する家事・子育ての割合の理想と現実
子供がいる25~44歳の既婚者に、夫が担当する家事・子育ての割合について、その理想と現実をたずねると、以下のような結果になったそうです。。
一番右側の黒い四角の中に平均値が明記されていますが、理想とする夫の分担割合(グラフの上半分)は、平均すると男女ともに4割程度という回答になっています。
この点については、男女での認識ギャップはそれほどありません。
しかし、現実の夫の分担割合(グラフの下半分)については、男性が3割程度と答えているの対し、女性は2割強と答えており、1割近くのギャップがあるようです。
夫がやっていると思っているほどには、妻は夫が実際に家事・子育てをしているとは思っていない実態が見て取れます。
第1子の妊娠・出産を機に仕事をやめた理由
次は女性と仕事の関係についてです。
第1子の妊娠・出産を機に仕事をやめた理由としては、「子育てをしながら仕事を続けるのは大変だったから」が52.3%で最も高くなっています。
さらに、「子育てに専念したかったから」(46.1%)、「自分の体や胎児を大事にしたいと考えたから」(41.8%)といった理由が続き、仕事よりも自分や家族を大事にしている様子がうかがえます。
だんなさんが子育てや家事をもう少し負担していたら、この数字は変わってくるのかもしれませんね。
理想の働き方
次に、理想の働き方についての質問です。
「末子が未就園児の時は専業主婦、中学生以降は正社員でフルタイム」という働き方を理想と考えている方が多いようです。
この回答は、既婚での子供の有無、未婚かどうかにかかわらず、概ね同じような傾向になっているようです。
現実の働き方
一方、現実の働き方はどうなっているのでしょうか。
現実には、末子が中学生以降も4割弱が専業主婦となっており、正社員でフルタイム勤務は2割弱にとどまっています。
一度専業主婦になると、なかなか正社員でフルタイム勤務に戻るのは難しいのかもしれません。
第1子の産休もしくは育休から復帰後のポスト・仕事内容の変化と仕事満足度
仕事に復帰した方のポストや仕事内容については、64.4%の方が「全く同じだった」で、「悪い方に変わった」方が21.0%、「良いほうに変わった」方が14.5%という結果になっています。
この結果を見る限り、出産はキャリアにとって必ずしもネガティブではなさそうですね。
第1子の産休もしくは育休から復帰後の年収変化と仕事満足度
一方で、仕事の内容は変わらなくても、年収という意味では下がってしまう方が多いようです。
年収を維持できた方は約4割で、「75~100%未満」「50~75%未満」の人はそれぞれ約25%となっています。
仕事内容は変わらなくても、時短勤務になったりすることで、収入は減ってしまう方が多いのかもしれません。
子育てと仕事を両立させるために、勤務先等の制度に望むこと
勤務先等に望むこととして、男性は「扶養手当等の支給」という経済的な支援が最も高くなっていますが、女性は「子育てのための勤務時間・勤務日数の短縮措置等」という働きやすい環境を望んでいることがわかります。まさに今叫ばれている「働き方改革」ですね。
ライフプランを考える上で
冒頭で、夫が思っているほどには、妻は夫が子育て・家事をやってくれているとは思っていない、という認識ギャップを紹介しました。
さらに、妻は出産後に再び正社員でフルタイム勤務を理想としている方が多いものの、実態は専業主婦となっている方が多いということも確認しました。
正社員で復帰しても、以前と同じ仕事に戻れないリスクもありますし、年収が下がってしまうリスクもあります。
出産、子育てというのは大きなライフイベントだと思いますが、人生100年時代ということを考えると、負担が大きいのは一時的かもしれません。
何歳までどのように働いていくのか、長期的な視点で考え、ご夫婦でしっかり話し合いながら、ご家族全体のライフプランを考えていくのがよいかと思います。
お金ももちろん大切ですが、「働きがい」や「生きがい」など全体のバランスを考えながら人生設計をしていくのがよいと考えています。