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投資と投機:株式取引は投資なのか?投機なのか?(2)

投稿日:

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昨日に続き、本日も株式取引が投資なのか、投機なのか、について考えてみたいと思います。

 

投資と投機:株式取引は投資なのか?投機なのか?(1)

 

投資とは?投機とは?(おさらい)

そもそも、投資と投機は次のように説明されていました。

 

投資

「利益を得る目的で、事業・不動産・証券などに資金を投下すること」

であり、

投機

「将来の価格の変動を予想して、現在の価格との差額を利得する目的で行われる商品や有価証券などの売買」

とあります。

 

投資と投機をいろいろな角度から見ていきたいと思います。

 

時間軸:投資は長期、投機は短期

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投資は「事業・不動産・証券などに資金を投下」するわけですが、その事業・不動産・証券(その証券を発行している企業)が、何らかの価値を生み出し、利益となって返ってくるまでには、ある程度の時間がかかります。

 

例えば不動産であれば、土地を購入して建物を建て、入居者を募集して賃貸することで、家賃という収入が得られます。家賃は、賃貸期間に比例する形で増えていきますから、1ヶ月より2ヵ月、2ヶ月より1年、1年より5年、、、と期間が長いほど収入は増えていくことになります。

つまり、不動産を購入して貸し出しても、1日や2日といった短期ではほとんど収入を得ることはできません。必然的に投資の期間は長期になっていきます。

 

これは、事業や証券(その証券を発行している企業)についても同じです。

企業がビジネス(事業)を行い、売上を上げて、利益を得るまでには時間がかかります。

例えば、自動車会社は工場を建設し、部品を調達、組み立てた上で、販売して収入を得ますが、これらのプロセスを1日や2日で行うことは不可能でしょう。ビジネス(事業)として立ち上げ、継続的に1年、2年、、、と行っていくことで、少しずつ利益を積み重ねていくことになります。

 

つまり、株式を購入しても、その株式の価値が上昇していくには時間がかかりますから、投資としてのリターンを回収するためには、長期的に保有していくことが必要になります。

 

一方、投機の方はどうでしょうか?

例えば、ある自動車会社の株式をデイトレード(日計り取引)することで利益を得たいとします。朝の9:30に株式を購入し、1時間後に株価が上昇したので、売却し利益を確定させたとします。

この時、株式の価格(株価)が9:30には1000円、10:30には1100円だったとします。10:30の時点では9:30よりも高くなったわけですが、この間、この自動車会社はどれだけの付加価値を世の中に提供したのでしょうか。

おそらく、1年間の売上の8760分の1程度でしょう(365日 ✕ 24時間/日 = 8760時間なので、1年中売上が均等に発生すると仮定しています)。

この売上による株式の価値上昇(「価格」の上昇ではなく、株式そのものの本質的「価値」です)があるにはあるのですが、一般的には、株価は(購入したいという)需要と(売却したいという)供給によっても、不規則に変動しますから、その不規則な変動の大きさの方が、1時間分の本質的価値の上昇よりも影響力は大きく、株価は上がったり、下がったりしていることでしょう。

このような不規則な株式の価格の動きに賭けて、株式取引を行うことは投機的と言えるかと思います。

 

ゲーム:投資はプラスサムゲーム、投機はゼロサムゲーム

ゲーム理論という考え方がありますが、投資はプラスサムゲーム、投機はゼロサムゲームだと考えられます。

 

プラスサムゲーム、ゼロサムゲームという言葉をグロービスのMBA用語集で確認すると次のような説明になっています。

 

プラスサム・ゲームとは、利害衝突具合により、ゲームを分類した類型の1つ。プレーヤーの利得の合計が、プラスになる場合を言う。

プラスサム・ゲームは、あるプレーヤーの利益が必ずしも他のプレーヤーの損失に結びつかないケースである。

https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11955.html

 

ゼロサム・ゲームとは、利害衝突具合により、ゲームを分類した類型の1つ。プレーヤーの利得合計がゼロになるケース。

ゼロサム・ゲームでは、あるプレーヤーの利益が増せば、その分だけ他のプレーヤーの損失が増える。

https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11850.html

 

つまり、投資は、資金を投下した事業・不動産・証券(その証券を発行している企業)が、ゼロから何らかの価値を生み出し、その価値をみんなで分け合うことになりますので、プラスサムゲームと考えられます。

 

一方、投機は、先ほどの例で言いますと、9:30の時点で1000円で購入し、10:30の時点で1100円で売却した、ということになるわけですが、たまたま取引相手がまったく同じ相手だったとします。すると、自分は1000円で購入して1100円で売却したわけですから、100円儲かります。一方、取引相手は1000円で売却し、1100円で買い戻しているので100円の損失となっているわけです。

 

自分: +100円の利益

相手: ー100円の損失

 

つまり、当事者2名の利得合計はゼロとなりますので、ゼロサムゲームになるというわけです。

 

(余談ですが、自分も相手も証券会社に売買手数料を支払うことになりますので、そこまで含めるとマイナスサムゲームになります。ただ、証券会社まで当事者と考えればゼロサムゲームにもどります。取引所へ支払う場口銭、、、もうやめておきます、、、)

 

最後に

今回は、時間軸とゲームという2つの観点から、投資と投機について考えてみました。

 

株式取引を長期的に行う投資では、1度購入した株式を長期にわたり保有し続けることで、配当収入であるインカムゲインや株価の値上がり益であるキャピタルゲインを継続的に得ていくことになります。

 

一方、株式取引を短期で行う投機では、1日のうちに同じ株式を何度も売り買いしたり、価格の変動にのみ着目して、価格差から利益を上げようと取引することになります。

 

 

さらに、株式取引をプラスサムゲームとみる投資では、株主としてその企業に資金を提供することで、その企業にビジネスを行ってもらい、その結果生み出された利益をみんなで分け合っていくというイメージです。

 

一方、株式取引をゼロサムゲームとみる投機では、参加している投資家間で、誰かが儲かれば、必ず誰かが同じだけ損をするという取引を繰り返し、なんとかして自分は儲ける側にいく、というイメージです。

 

投資と投機について、イメージがわいてきましたでしょうか。

 

明日も、投資と投機についてもう少し続けたいと思います。

 

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筆者プロフィール

株式会社ウェルスペント 代表取締役
ファイナンシャルプランナー

横田 健一

Yokota Kenichi

横田 健一

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