社会人になり、自分で収入を得るようになると、貯蓄や資産形成をしていかなくては!という意識をお持ちになる方も多いのではないでしょうか。
ご相談を受けていても、
- どうやって貯めていけばいいのかわからない
- 積立投資をやってみたいけど、どのくらいやればいいのかわからない
といった声をよく聞きます。
そこで、今回は資産形成の始め方についてご説明したいと思います。
まずは手取り収入の1割を天引きで積み立てましょう!
社会人になって、収入を得るようになったら、手取り収入の1割を目安に積立を始めてみましょう!
具体的には、会社員や公務員といった給与所得者の場合、収入から、厚生年金保険料や健康保険料、所得税・住民税といったものを差し引いた手取り収入(いわゆる可処分所得)の1割を目安に積立を始めることをおすすめします。
例えば、手取り18万円という方は、その1割、18,000円を毎月積み立てにまわしてみましょう。1割というのは目安ですので、頑張れる方はもう少し増やしてもいいと思いますが、1割未満だとちょっと少ないと思います(多くても2割くらいが目安です)。
そして、できれば給与天引きで、受け取る時点で自動的に引かれているようにするか、給与振込日に自動で口座から積み立てられるようにするなど、「仕組み化」して自動的に積み立てられるにしておきましょう。
一方、個人事業主の方は年間の所得がその年を終わってみないとわからないという方もいらっしゃるかと思いますが、そのような方は、前年の手取り収入を前提に積立金額を仮で決定してみてはいかがでしょうか。
そして、1年の収入が確定したら、確定申告などをやりながら、仮で決めておいて実際に積み立てた金額と、確定した手取り収入から計算される積立金額の差額分を、年に1回、自分で積立口座に移動すればよいかと思います。
積み立てる金額のうち、少額でよいのでつみたてNISAを始めてみよう!
積み立て先の金融商品としては、まずは預貯金など元本保証の商品でよいと思いますが、そのうち月々1000円といった少額でよいと思いますので、つみたてNISAを利用して投資信託の積立投資を始めてみてはいかがでしょうか。
資産形成ハンドブックでは、基本的にお金を次の4つに分けて管理しましょう、とお伝えしています。
- ふだん使うお金(日常生活費)
- とっておくお金(生活防衛資金)
- もうすぐ使うお金(ライフイベント準備金)
- 老後に使うお金(老後資金)
詳しくは以下の記事をご覧ください。
https://shisankeisei.jp/managing-your-money/balance-sheet/
このうち、「とっておくお金(生活防衛資金)」は目安として生活費の1年分といったまとまったお金をイメージしているのですが、この金額が貯まるまではつみたてNISAなどの運用は始めないほうがいいのでしょうか?というご質問を頂くことがあります。
一般的に、この「とっておくお金(生活防衛資金)」が貯まるまではかなりの時間がかかりますから、それから運用を始めては、何年後になるかわかりません。
ですので、少額(月々1000円など)でよいので、つみたてNISAをまずは経験してみてはいかがでしょうか、というお話をするようにしています。
以下の記事も参考にして頂ければと思います。
最近、マーケットが大きく動くことがあり、株式や債券などのリスク資産で運用している方の中には心穏やかでない方もいらっしゃるかもしれませんが、まずは毎月1000円といった少額から、積立投資というものを実体験として積んでいくことが大切だと思います。
ベロを出した写真が印象的な、著名物理学者、アインシュタインは次のように言ったと言われています。
何かを学ぶためには、自分で体験する以上にいい方法はない。
アルベルト・アインシュタイン
これは多くのことに共通する普遍的な真理だと思いますが、やはり自分で実際にやってみると理解度が深まります。
最初は誰もが不安だと思います。
投資信託や積立投資などの本を読んだり、セミナーに参加したり、ネットで情報収集したり、少しでもきちんと理解してから、という気持ちもわかります。ですが、いつまで経っても、「これなら大丈夫!」という確信に至るのはそう易しいことではないと思います。
まずは月額1000円といった少額から、実践で体験してみることです。「百聞は一見にしかず」という言葉もありますが、体験してみると、新たな気づきや、新たな疑問など、様々な経験を積むことができます。それによって、また新しい視点で調べたり、質問したりしながら、走ってみることで投資家としての経験を積むことができるわけです。
まとめ
まとめますと、次のようになります。
- 手取り収入の1割を目安に、天引き貯蓄を仕組み化して行う
- 毎月の貯蓄額のうち、1000円程度でつみたてNISAを始めてみる
- 「とっておくお金(生活防衛資金)」がある程度貯まってきたら、もしくは収入水準が上がってきたら、状況に応じて積立投資の金額を増やしていけばよいでしょう(その頃までには、積立投資家としての経験が豊富になっているはずです)
本記事では、積立投資についてフォーカスしていますが、もちろん各ご家庭の状況に応じて、リスクに備えるための生命保険などを優先すべき場合もあるかと思います。一般的に、こうすべき、ということではなく、基本的には各ご家庭の事情に応じて、適切な組み合わせで資産形成していくべきと考えています。
ただし、多くの人が迎える現役引退と老後というライフステージに向けて備えるには、自助努力による資産形成が重要になってきます。企業型確定拠出年金や、iDeCo(個人型確定拠出年金)など、投資信託を活用した年金制度を利用される方も多くなっていると思いますので、若いうちから投資信託について理解を深めて体験しておくことは、長い人生でとても役に立つと考えています。