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企業型もしくは個人型(iDeCo)で加入する方が増えている確定拠出年金ですが、実際に運用していくのはそれほどやさしいことではないかと思います。
実際、運用されている方の利回りはどのくらいなのでしょうか。
昨年も以下の記事で確認しましたが、企業型に加入されている方の利回り実績のニュースが出ていましたので、2019年版ということで最新の状況を確認していきます。
企業型確定拠出年金、2018年度の単年度利回りは0.40%
1週間ほど前に、以下の記事が日経新聞電子版に掲載されていました。
DC、利回り1.86% 18年度 3年ぶり低水準、株安響く
2019/7/1 20:30確定拠出年金(DC)の運用成績が悪化している。格付投資情報センター(R&I)によると、2018年度末までの運用利回り(通算、年率換算ベース)は1.86%と2年連続で低下し、3年ぶりの低水準となった。17年度からは約0.6ポイント悪化した。米中貿易摩擦や中国の景気減速で、国内の株式相場が下落した影響を受けた。
R&IがDCの運営管理を担う野村証券、みずほ銀行、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行の大手4社から集計した。企業が掛け金を拠出する「企業型」の408万人を対象にしており、全加入者の6割を占める。DCは従業員が自ら運用方法を指定する制度で、運用成績に応じて将来の年金額が変動する。
18年度の単年度利回りは0.40%と小幅なプラスを確保した。一方で17年度の同3.25%からは悪化し、累積の利回りも低下した。海外株式や国内外の債券の運用成績は堅調だった一方、国内株がふるわなかった。
加入者ごとの運用成績でみると、3%以上だった層は26%と17年度から11ポイント減った。また全体の約半数が1%未満だった。DCは運用資産の中でも元本確保型の金融商品が高く、組み入れ商品の多様化やリスク管理が課題となっている。
日本経済新聞電子版より引用
この記事によると、大手4社で企業型確定拠出年金に加入されている方の2018年度の運用利回りは0.40%だったようです。
みなさんの結果はどのくらいでしたでしょうか?
では、今回も、資産形成ハンドブックでオススメしている、インデックスファンドを利用して世界に幅広く投資していたらどうなっていたか、確認してみたいと思います。
具体的には、次の記事で紹介しているパターン3で、
日本株式:先進国株式:新興国株式 = 1 : 8 : 1
として投資した場合の運用利回りを確認してみたいと思います。
「日本株式:先進国株式:新興国株式 = 1 : 8 : 1」で投資していたら?
以下の説明では具体的に計算するために、特定のファンドを選んでいますが、基本的に
- 日本株式インデックスファンド(TOPIX連動)
- 先進国株式インデックスファンド(MSCI-KOKUSAI連動)
- 新興国株式インデックスファンド(MSCI-Emerging Markets連動)
であれば、手数料等によって多少の差はあれ、運用利回りはだいたい同じくらいになるはずです。
(実際に運用される場合は、加入されている確定拠出年金の中で選択できる当該ファンドを選んで頂ければよいかと思います)
まず日本株式インデックスファンドとして、TOPIXに連動する三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスF(三井住友アセットマネジメント)で確認してみます。
2018年3月末の基準価額が25,857円で、2019年3月末の基準価額が24,532円なので、2018年度の運用利回りは、
24,532 / 25,857 – 1 = -5.12%
となります。
次に、先進国株式インデックスファンドとして、MSCIコクサイに連動する野村 DC外国株式インデックスF・MSCI(野村アセットマネジメント)で確認してみます。
2018年3月末の基準価額が14,957円で、2019年3月末の基準価額が16,328円なので、2018年度の運用利回りは、
16,328 / 14,957 – 1 = 9.17%
となります。
最後に、新興国株式インデックスファンドとして、MSCIエマージング・マーケット・インデックスに連動するたわらノーロード新興国株式(アセットマネジメントOne)で確認してみます。
2018年3月末の基準価額が14,060円で、2019年3月末の基準価額が13,307円なので、2018年度の運用利回りは、
13,307 / 14,060 – 1 = -5.36%
となります。
これらのファンドを1 : 8 : 1の割合で保有していたとすると、ポートフォリオ全体の運用利回りとしては、
日本株式インデックスファンドの利回り ✕ その配分割合 + 先進国株式インデックスファンドの利回り ✕ その配分割合 + 新興国株式インデックスファンドの利回り ✕ その配分割合
= -5.12% ✕ 0.1 + 9.17% ✕ 0.8 + -5.36% ✕ 0.1
= 6.29%
となります。
日本株式と新興国株式がマイナス利回りとなってしまいましたが、先進国株式が大きなプラスだったので、全体としても大きなプラスとなりました。
確定拠出年金の加入者の平均利回り0.40%を上回り、6.29%となりました!
確定拠出年金に加入されている方は、預金や保険などの元本確保型商品を選ばれている方が多いようですから、この結果は当然の結果と言えるでしょう。
ただ、2018年度はたまたまこのようによい運用利回りになりましたが、毎年必ずよいとは限りませんし、年によってはマイナスの利回りになってしまう可能性もあります。
確定拠出年金というのは文字通り、年金であり、基本的には老後に使うお金という位置づけです。現役時代の短期的な運用利回りに一喜一憂することなく、20年、30年といった長期的な視点で運用を継続していくことが大切です。
ということで、年金として長期的に運用していくお金で、実際に受け取るまでに少なくとも10年以上ある方は、今回試算したアセット・アロケーションである
日本株式:先進国株式:新興国株式 = 1 : 8 : 1
や、他にも以下の記事で紹介しているパターン1(世界株式)もしくはパターン2(日本株式+日本株式を除く先進国株式と新興国株式)がおすすめです。
長期的に運用していく際には、
- アセット・アロケーションはできるだけシンプルに、
- そして基本的にはほったらかし(でも、年に1回くらいはチェック)
という形がよいのではないかと思います。なお、受給開始まで10年を切ってきたら、少しずつ株式の割合を下げていってもよいかと思います。
そもそも株式がなぜリターンを生むのかについては、以下の記事をご覧頂ければと思います。
また、以下の記事も併せてご覧頂ければと思います。