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投資のプロは市場に勝てるのか?「2025年末 SPIVA®日本スコアカード」から学ぶ、賢い投資信託の選び方

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みなさんの中には、投資信託を選ぶ際に「プロが運用するアクティブファンドなら、普通のインデックスファンドよりも高い利益を出してくれるはず」と考えている人もいるのではないでしょうか?

新NISAの普及もあり、多くの方が「投資信託」での資産形成を始めています。しかし、いざ商品を選ぼうとすると、「インデックス(パッシブ)運用」と「アクティブ運用」のどちらが良いのか、迷ってしまう方は少なくありません。

「プロが銘柄を厳選するのだから、市場平均(インデックス)よりも儲かるはず」と期待したくなりますが、実は現実はそれほど甘くありません。今回は、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが発表した最新の調査レポート「SPIVA®日本スコアカード(2025年末版)」を基に、投資信託のパフォーマンスの驚くべき実態を初心者の方にも分かりやすく解説します。

そもそも「SPIVA」って何?

SPIVA」とは、「S&P Indices Versus Active」の略称です。世界的に有名な指数(インデックス)の算出会社であるS&Pが、2002年から世界各国で発表している、いわば「投資信託の通知表」のようなものです 。

このレポートの最大の特徴は、「プロである投資信託の運用マネージャーが、同じカテゴリーの指数(ベンチマーク)に勝てたのか?」を非常に厳しく、かつ公正に測定している点にあります。

2025年の成績:日本株の「大型株」だけはプロが健闘!

2025年は、日本のアクティブ運用マネージャーにとって非常に特徴的な1年となりました。 まず、2025年の日本の株式市場は非常に好調でした。インフレの定着や賃金上昇への期待、そして政府の成長戦略などを背景に、日本株の指標である「S&P 日本 500 指数」は25.1%上昇し、史上最高値を更新しました 。

この絶好調な相場の中で、注目すべき結果が出ています。 通常、アクティブ運用がインデックスに勝つのは難しいとされていますが、2025年の「日本の大型株ファンド」カテゴリーでは、約51%のファンドがベンチマークを上回る成績(アウトパフォーム)を残したのです 。これは2017年以来の好成績です。

なぜプロが勝てたのでしょうか? レポートでは、「銘柄ごとの値動きのばらつき(分散)」が過去10年で最大級に広がったことを理由に挙げています 。2025年は、不動産(+40.7%)や金融(+35.3%)といったセクターが大きく伸びた一方で、ヘルスケアなどは振るいませんでした 。このように「上がる銘柄」と「上がらない銘柄」の差がはっきりしていたため、腕の良いプロが銘柄を厳選するチャンスが多かったようです。

他のカテゴリーは「全敗」に近い厳しい現実

一方で、日本大型株以外のカテゴリーに目を向けると、状況は一変します。

  • 日本の中小型株ファンド: 2025年は約80%のファンドがベンチマークに負けてしまいました 。これは2014年以降で最悪の結果です 。
  • 海外株式(米国・グローバルなど): さらに厳しいのが海外投資です。米国株式、グローバル株式、国際株式(日本を除く)、新興国株式の各カテゴリーでは、いずれも85%以上のアクティブファンドがベンチマークに敗北しています 。

特に米国株のアクティブファンドは、2025年にベンチマーク(S&P 500)が日本円ベースで17.6%上昇したのに対し、ファンドの平均的なリターン(資産加重平均)は9.1%にとどまり、大きな差をつけられてしまいました 。

長期で見ると「プロが勝ち続けること」は極めて困難

単年(1年)の成績も重要ですが、私たちの資産形成は10年、20年、30年、、、と続きます。SPIVAレポートが示す「長期のデータ」は、さらに衝撃的です。

15年という長い期間で見ると、全てのカテゴリーにおいて、大多数のアクティブファンドがベンチマークに負けているのです。

  • グローバル株式・国際株式・新興国株式: 10年および15年の期間では、なんと100%(全てのファンド)がベンチマークに負けるという結果が出ています 。
  • 日本の大型株: 短期的には健闘した2025年ですが、10年で見ると83.38%、15年で見ると80.38%のファンドがベンチマーク(インデックス)に負けています 。
出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス「SPIVA 日本スコアカード(Year-End 2025)」
出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス「SPIVA 日本スコアカード(Year-End 2025)」

つまり、「長期的にインデックスよりも高い収益を上げ続けるアクティブファンドを見つけ出すこと」は、宝くじを当てるような難易度だと言わざるを得ません。

実際にどの程度負けているのか、リターンを確認してみましょう。15年の年率換算リターンについて、カテゴリーごとにインデックスとファンドで比較すると次のようになります。

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス「SPIVA 日本スコアカード(Year-End 2025)」

日本の中小型株ファンドはインデックスを上回っていますが、それ以外はすべて負けています。海外株式にいたっては、その差が3.32~5.28%と大差で負けています。1年あたりでこれほどの差が出ると、10年、20年ではかなり大きな差となってあられてくるはずです。

投資信託選びで知っておくべき「消えたファンド」の存在

もう一つ、初心者が絶対に知っておくべき重要な事実が「ファンドの生存率」です。 多くの投資信託の評価サイトでは、「今、存在しているファンド」の成績だけが表示されています。しかし、成績が悪くなったファンドは、途中で運用を止めたり(清算)、他のファンドに吸収(合併)されたりして、歴史から消えてしまいます。これを「生存バイアス」と呼びます。

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス「SPIVA 日本スコアカード(Year-End 2025)」

SPIVAレポートは、この「消えたファンド」も含めて計算しているため、非常に正確です 。 データによると、日本の全てのカテゴリーを合わせたファンドの15年後の生存率は、わずか46.47%でした 。つまり、せっかく選んだ投資信託が、15年後には半分以上無くなっている可能性があるということです。 特に新興国株式ファンドの生存率は低く、15年で約24.6%しか生き残っていません 。長期投資を前提にするなら、この「途中で運用が終わってしまうリスク」は無視できません。

私たちはどう投資すべきか?

このレポートの結果から学べることは、決して「アクティブ運用がダメだ」ということではありません。しかし、以下の3点は心に留めておくべきでしょう。

  1. インデックス運用の安定感: 長期的に見て、プロが指数に勝ち続けるのは極めて難しいのが現実です。特に海外株式においては、最初から指数に連動するインデックスファンドを選ぶ方が、多くの場合で賢明な選択と言えそうです。
  2. コストの意識: アクティブ運用はプロの手間がかかる分、手数料(信託報酬)が高い傾向にあります。指数の成績に負けている上に高い手数料を払うのは、投資家にとって二重の損失になります。
  3. 生存率の重要性: 流行に乗った投資信託や、仕組みが複雑なファンドは、途中で償還(運用終了)されるリスクが高くなります。長く付き合える、資産規模の大きな安定したファンドを選ぶことが大切です。

結論として、特定の時期や特定のカテゴリー(2025年の日本大型株など)ではプロ(アクティブ運用)が勝つこともありますが、個人の資産形成においては、低コストで長期的に市場の成長を享受できる「インデックスファンド」を土台にするのが、手間もかからず、最も再現性の高い成功法則と言えるのではないでしょうか。

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横田 健一

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