
「あなたは今、自分の確定拠出年金(DC)がどのように運用され、いくらまで育っているか、正確に把握していますか?」
人生100年時代と言われる中、自分自身で老後資金を準備する「確定拠出年金(DC)」への関心はかつてないほど高まっています。2001年10月に制度が始まって以来、加入者数は右肩上がりに増え続けており、政府が進める「資産運用立国実現プラン」などの後押しも受けて、今や私たちの資産形成に欠かせない存在となりました。
今回は、2025年3月末時点の最新データ(運営管理機関連絡協議会「確定拠出年金統計資料」)に基づき、日本での普及状況と、気になる「みんなが選んでいる運用商品」の最新トレンドを詳しく紐解いていきます。
1. 驚異的な伸びを見せる「iDeCo」と、着実に広がる「企業型」
日本の確定拠出年金には、勤務先が導入する「企業型」と、個人が任意で加入する「個人型(iDeCo)」の2つの入り口があります。
まず「企業型」ですが、加入者数は862万582人に達しました。 2016年3月末時点では約550万人だったため、この9年間で約300万人以上増加した計算になります。 制度を導入する事業所数も5万8,000件を超え、多くの企業で「退職金の代替」や「将来への上乗せ」としての仕組みが定着しています。

さらに驚くべきは「iDeCo」の普及スピードです。加入者数は362万6,142人となりました。 2016年3月末時点では約25.8万人だったことを考えると、9年間でなんと14倍近くにまで膨れ上がっています。 公務員や専業主婦、企業年金のある会社員も加入できるよう制度が拡充されたことで、老後を見据えた「自助努力」が一般化したと言えるでしょう。
全体の資産残高を合わせると約31兆円(企業型:約23.8兆円、iDeCo:約7.2兆円)という巨大な規模になっており、私たちの将来を支える「貯金箱」が着実に育っています。

2. 運用トレンドの劇的な変化:貯蓄から投資へ
確定拠出年金の最大の特徴は、将来受け取る金額が「自分の選んだ商品の運用結果」次第で決まる点です。かつては「元本確保型」の預貯金や保険が中心でしたが、近年は「投資信託」を活用する層が劇的に増えています。
投資信託が主流に
運用資産の内訳(資産額ベース)を見ると、その変化は一目瞭然です。
企業型加入者の商品選択割合
投資信託等の割合は69.2%に達しました。 2022年3月末(57.9%)からの3年間で急速に投資へとシフトしています。 対照的に、預貯金の割合は21.8%、保険は8.5%まで低下しました。

iDeCo加入者の商品選択割合
こちらはさらに積極的で、投資信託等の割合が75.9%を占めています。

一番人気は「外国株式」
投資信託の中でも、特に人気が集中しているのが「外国株式型」です。
企業型では運用資産全体の25.2%、iDeCoでは39.4%が外国株式型に回されています。 世界経済の成長を資産形成に取り入れようとする姿勢が強く表れています。
次いで「バランス型(国内外の株や債券を組み合わせたもの)」も、企業型で20.9%、iDeCoで16.2%と安定した人気を誇っています。
「低コストなパッシブ運用」が選ばれる理由
運用スタイルとしては、特定の指数(日経平均やS&P500など)に連動する「パッシブ型(インデックス型)」が圧倒的に支持されています。
例えば、iDeCoの外国株式型では、なんと90.3%がパッシブ型の商品です。 企業型でも83.2%に達しており、「低コストで分かりやすい運用」が加入者の賢い選択基準となっているようです。
3. 年代別に見る運用のリアル:若者は「攻め」、ベテランは「守り」
運用商品の選び方には、年代によって興味深い特徴が出ています。1つ目が企業型、2つ目が個人型で、それぞれの年代別運用商品選択状況です。


20代:リスクを取った積極運用
運用期間を長く確保できる20代は非常に積極的です。iDeCo加入者の投資信託等の選択割合は88.3%に及び、そのうち56.2%が外国株式型に投じられています。 長期的な成長を期待し、リスクを恐れず投資へ振り向けている様子が分かります。
60代以上:資産を守る「出口戦略」
退職が近づく世代は守りの姿勢を強めます。iDeCoの60代以上の預貯金割合は25.7%、保険は9.5%と、元本確保型の合計が約35%まで高まります。 企業型でも年齢が上がるにつれて預貯金の割合が増える傾向にあります。
積み立ての成果:50代の平均資産額
長年の積み立ての成果は数字に表れています。平均資産額は、企業型では50代が約476万円、iDeCoでも50代が約192万円と、50代までの世代で比較すると最も多くなっています。 「コツコツと継続すること」の重要性が改めて証明された形です。
4. まとめ:老後の安心は「自分で育てる」時代
2025年3月末の統計から見えてきたのは、日本人が確定拠出年金を単なる貯金ではなく、「積極的に資産を増やすための手段」として使いこなし始めている姿です。
特に外国株式型への高い支持や、若い世代の積極的な投資姿勢は、これからの資産形成のスタンダードになっていくでしょう。今後は、2026年12月の拠出限度額の見直しや、加入可能年齢の引き上げなども予定されており、制度の利便性はさらに高まります。
確定拠出年金は、早く始めるほど、そしてじっくり時間をかけるほど、複利の効果を期待できる制度です。統計データが示すように、自分に合った商品を選び、長期的な視点で資産を育てていくことが、安心な老後への確実な第一歩となります。
※本記事の内容は「確定拠出年金統計資料(2025年3月末)」のデータに基づいています。運用にはリスクが伴いますので、ご自身の判断と責任において行ってください。