さまざまな調査結果を見ていると、平均値や中央値という言葉が出てきますが、この違いをみなさんご存知でしょうか?
「世帯の平均金融資産保有額は1700万円!」
でも、
「世帯の金融資産保有額の中央値は1000万円!」
ということもよくあります。
調査結果を見て、「無駄にドキッ」としないために、平均値と中央値についてきちんと理解しておきましょう。
具体例:5人の貯蓄額
Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさんの5人がいて、それぞれの人が持っている貯蓄額が、順に、
50万円
100万円
100万円
100万円
4650万円
だったとします。
貯蓄額の平均値は?
この5人の貯蓄額の平均値は、
(50万円 + 100万円 + 100万円 + 100万円 + 4650万円) / 5 = 1000万円
となります。
この5人に、「みなさん5人の平均貯蓄額は1000万円ですよ!」と伝えたら、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人は
「エッ!そんなに!」
と感じるのではないでしょうか。一方、Eさんは、「へぇ~」と思うだけかもしれません。
このように平均値というのは、平均よりもかなり大きい値が混ざっていると、その人の影響を受けるので、大きめの数字になる傾向があります。
貯蓄額の中央値は?
次に、同じ5人の貯蓄額について、中央値と呼ばれるものを確認してみます。
中央値は、5人の貯蓄額を小さい方から順に並べていった時にちょうど真ん中(この例で言えば3人目)のものになります。
5人の貯蓄額を小さい方から順に並べると
50万円
100万円
100万円
100万円
4650万円
となりますから、この3番目の数字100万円が中央値になります。
この5人に、「みなさん5人の貯蓄額の中央値は100万円ですよ!」と伝えたら、Bさん、Cさん、Dさんの3人は、「あ、私は中央値だ。みんなそんなもんなんだな」と思うでしょう。
また、貯蓄額が中央値100万円の半分であるAさんとしても、「自分は中央値の半分くらいか。ちょっと少ないかな」と、平均値1000万円を伝えた時と比べると、その驚きは少なくなると思います。
感覚的に、より実態に近いのは中央値
この例のように、一人のお金持ちEさんを除いて、フツーの人の感覚に合うのは平均値でなく、中央値ではないでしょうか。
もちろん平均値も中央値も統計上計算方法が異なるというだけで、どちらが正しい、間違っているというものではありません。
しかし、平均値や中央値それぞれの計算方法を考慮すると、
貯蓄額の例で「みんなどのくらい貯蓄してるの?」
収入の例で「みなさんの年収はどのくらいなの?」
などといった質問に対しては、平均値よりも中央値を使うのがより適切でしょう。
メディアで報道される数字は、平均値のことが多いと思いますので、その数字を鵜呑みにしてしまうと感覚とずれてしまうことがあるかと思います。
テストの得点のように、全員が0点から100点の間のどこかになる場合は問題ないと思いますが、金融資産のように、持っている人はものすごい金額になるといった場合には、一部のお金持ちの人のデータが平均値を引っ張り上げてしまう可能性があるのです。
これからは、平均値と中央値の違い、意識してみて頂ければと思います。